本当に校長室にいって、やめさせてくださいと言っている光景が目に浮かんだ。そうしてもいいと思った。
うまくやれなかったこと、大失敗したこと、疲れ果ててぺしゃんこになったこと、数えきれないほどあったし、学校を辞めたら、という「もしも」の想像は私のお気に入りだけど、どれも私の空想からはみ出るものではなかった。 でも、今日は現実的にやめてしまえと思った。
生徒の声にまったく耳を貸さずにいる私に気がついてしまった。
生徒が話しかけてきても、ほかの仕事が気がかりでうわの空。
授業中の机間巡視は、生徒の理解や疑問を見ずに、ただうろうろしてちゃんと取り組まない生徒を注意するだけ。
そして、自分の思い通りの授業にすることしか考えていない。
何をやっているんだ、私! いつからそんな教師になってしまったんだ!
技術も経験もない私の唯一のとりえは生徒の心の近くにいることじゃなかったの? 体裁だけベテラン気取りの青二才にはなんの魅力もないに決まっている。
本当に存在する価値がないと思った。
|