私(わたくし)には、どうしようもない癖がございます。
それは恋人に対する気持ちです。爽(さわ)やかな人が好きなのですが、お付き合いしだしますと気持ちが冷めてしまうのです。最初は春の小風のような笑顔をなさるのですが、その内にどうしてもいやらしく感じてしまうのです。
何回かお会いした後に体を任せますと、男の人がいい加減になった気がします。あれほど「ああ、この人だわ」と思っていましたのに、なんだかやっぱり、この人も只の犬コロなのだ、と感じてしまいます。彼の気持ちが肉体だけになってしまうのか、等閑(なおざり)になったのか、私に魅力がないのかは分りませんが。
それで気持ちが冷めてしまいます。「ああ、犬コロか」と思って。私は「男の人全体のようなもの」を憎んでいるのかもしれません。そんなものに身を任せるのなら淋しい1人の方がいいと思ってしまうのです。
たまに友達に「多情ね」や、酷い時には「娼婦」と呼ばれることもあります。それは体を任せた人の数が多いからでしょう。それでも、私は「男」というものを嫌っていますから、なんだか可笑しくなります。1人で部屋に戻って思いだし、カラカラと微笑んだりします。
執筆者:藤崎 道雪