「お前は俺のこと好きなのかよ」
「え?!」
私は後ろ向きに話し掛けられて、びっくりした振りをした。
ドトールでトイレに行こうと席を立ち、Tに背中を向けて2,3歩進んでからだった。
日曜日の午後ということもあって店はザワザワと日の光を浴びてにぎわっていた。
「なぁによ〜」と表情も180度振り返った。
「急にどうしたの?何かあったの?? 淋しかった? 私がトイレにいくのがぁ」
子供のようにあやせば彼は恥ずかしくなっていつものように言うだろう。
「あぁ、別にそんなんじゃねーよ。ただ、後姿が楽しそうだったからよ。」
いつも通りの「何でもネーよ」という台詞ではなかった。
「そうだった?トイレに行きたかったのかも(笑)」
「大声でいうなよ、恥ずかしいだろ」
続けた二の句で彼はいつもに戻った。
そのまま背中に気を配って5�耽覆鵑如▲肇ぅ譴涼磴離疋△魍�けた。
彼は気付いているのだろうか。
最近、ネットで知り合った40代の男性とメールをやり取りしている。
「もう白髪が見え始めて」という割に積極的に誘ってくる。けれど、上品で丁寧なのだ。
Tの乱暴さとは違う心地よさに酔っている。もう数回メールしたら「逢っても良いよ」と送信するつもりだ。
彼は浮気したことがないと言う。私にはどっちでも良いのだったけれど、そんなことを自慢げに何回も話していた。
そういう押し付けがましさが無くていい。
だから、そう、だから多分、5年も付き合っているTと結婚するだろう。
トイレから出たら彼の欲しがっていたホイルを見に行く事にしようかな。
郊外にあるから帰りが遅くなって、夕食の支度が大変になるけれど。
予定通りにお化粧を治さなくっちゃ。とっても丁寧にしてあげるからね。
執筆者:藤崎 道雪