キーボードを鳴らす音が、モァ〜っとする残暑を壊しはしないかと考えてみた。
天上窓から見えて、乗りかかって来そうな濃緑の葉の上に、日光を浴びて彩度を上げた輝きが揺れている。
深夜のような煌(きら)めきに目を細めてみれば、1つ1つが飛び回っている蟲(むし)たち
飛び回っている、というより風の上でふわふわと遊んでいるように流れていっては消えていく。
山の緑の塊を突き抜けると、あるのは真っ青な空だけだ。
はたと自然の驚異に、縮こまっていた脳の皺(しわ)が伸ばされて、キーボードから両手が開いた。
滴(しずく)が油虫のように群がっていたカルピスを、グイ、と引き寄せてゴクリ。
小さなことかもしれない。
全くちっぽけすぎることかもしれない。
生きているんだから、お互いが。だから、メールくらい良いじゃないか。
一々、気にすること無いじゃないか。
いくら、そういくら私が・・・
そう、いくら私が・・・としていたとしてもだ。
お互いが生きているんだから。
あの蟲たちのように流されて飛んでいるだけだよ。
真理で、倫理で、美意識で、自由で、愛情で、小我で自分を縛るなんて。
いくら反したからといったってねぇ。
眼鏡を忘れて、デスクトップ4センチまで脳みそを萎(しぼ)ませた。
執筆者:藤崎 道雪