失礼して上から見下ろしているから、皆さんの視界には入りません。
だから皆さんの細かい仕草を、遠慮なく見ることが出来ます。
仕事なのかスーツ2人組みの男性が話しています。一方はまくし立てるように、他方はキョロキョロと引け目を視線で現したりして。
なになに・・・?
ああ、金融商品のお奨めなんですね。
あ、毎日のようにくるおばあさんが、今日もカフェオレとアンパンをトレイに乗せて奥の席に座りました。
奥の席はオレンジ色のソファーになっていてお気に入りの席で、このカフェ一番の特等席です。
いや〜おばあさんはあの席で、本当に美味しそうに両手であんぱんを大切に食べます。
食べ終わると、時々カフェオレを口に運んでニコニコしています。
お昼時を過ぎると、OLさん、学生さん、カップルさんたちがパラパラと入ってきます。
OLさんはきっかり15分雑誌を読んでいきました。学生さん2人は携帯メールに夢中で全く会話しません。会話を聞くのも好きなんですがね〜。カップルさんはまだ初々しいですね。女の子の方が席を乗り出して頬を染めています。男の人は20歳くらいの年上かな、茶髪でイケメンでちょっとふんぞり返り気味だな〜。
座席30席の小さなカフェはちょっと引っ込んだ位置にあるので、常連さんが半分くらいでゆっくりとした雰囲気。
夕飯時になると、パラパラっと2,3席になります。そんな時にくるスーツの男性もいます。いっつも漫画を読んだり本を読んだりしています。ちゃんと仕事してるのかな〜ぁ・・・
8時頃になると大繁盛。
といっても少々がやがやするくらい。夜の華やかさがこのカフェにもやってきてお喋りの中で楽しそうに遊んでいきます。
何と言ってもこのカフェのイチオシは、新作のマンゴジュース。色も味もソファーにマッチしているし、夏だから体にもいい。夜は夜の心軽さからマンゴジュースが半分以上ですね。
今日も皆さん楽しそうに会話したり、本や漫画を読んだり、商談したり、恋を語ったりです。
そんな皆さんをそっと照らすのが私の役割なんです。
執筆者:藤崎 道雪(校正H16.9.1)