久しぶりの日差しは夕暮れになっても強かった
茶畑がコンビニの食料品のように整頓させられて並び、より一層、夕暮れの紅色を艶っぽくさせた
ふと、風に誘われて茶畑の切れ間まで視線が広がった
段々畑のようになった丘を埋め尽くすのは何百という数え切れないほどの木々たちだった
少し深い色、濁った色、浅黄色、信号機の青色まであった
そこへ強風が襲い掛かっていった
ざぁざぁざぁと大合唱してくれた
ばぁばぁばぁと葉裏は真っ白だった。
ちらちらちらと見えるペチコートのように
さらさらさらと昼を撫で取るハンカチのように
吹き抜けては、また吹き抜けていく、その白濁のざわめく波に
やっと気がついて、そっと気がついて、夕暮れ色と藍色のネクタイを外した
(注記:「ネクタイ」は中世欧州では女性から送られるもので、ネクタイを着ける事は意中の女性がいる事を意味していた)
執筆者:藤崎 道雪