霜焼けになる手前のむずがゆさ 必死に振り払おうと太股を交互させる
満ち満ちた美麗な月光とは異なる同心に動かされるオリオン
下半身と脳髄のポカンと空いた胴体にカイロのような微熱が帯びだす
初等教育の知識がオリオンの動きを説明し、脳天がオリオンの動きを久しく体感しなかったのを思い出す
感謝が先にあるのではなく、知識が先にあるのだ
絶景とこの生体の恒常性があることの知識が先にあるのだ
感謝は先ではない
そうした感謝は必ず自己欺瞞や瞑想のみの神秘主義、独我論へと落ち込んでいく
感謝は先ではない
知識が、あまりに簡単な知識が先にあるのだ
知識の客観性が感謝へと移り行き、感謝が主観化されるのを防ぐのである
カイロの微熱に心を奪われてはならない
霜焼け手前のむずがゆさに身体を蝕まれてはならない
脳天の知識を出発点とすれば宇宙の何処までも心が広がっていける
恒常性を失った死体までもがあなたの中に住まい、未来永劫まで見通せるのだ