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「 絶対的自我11 娘の死と 」
2015年03月01日(日)



 娘が殺された、とニュースで流れた

 三人称の死が肉親の死に置き換わったら、世間の関心を装う歓心から狂乱の寒心になるのだろう

 娘との過去を想い出し、想い出してはより寒々しく、氷突き刺すような吹雪が吹き荒れるだろう

 手は悴み、心は塊り、字は破れ、涙は嗄れる

 
 ただ、それだけのこと

 娘との過去は自我の消去だけのこと

 己の肉体の死による自我の崩壊という地平で眺めたのなら、幾何があろうか


 こうして書いている私は、娘の殺害で気が狂うだろうか

 ロシア風に晒されて、世間の寒心に曝されて、私はどのようにするだろうか

 
 心乱れ、想像を絶する地平にこそ、絶対的自我への潜戸がある

 しかし、その先に進むことは叶わない

 潜っては、必ず引き戻されるのだ

 私の自我の出発点である肉体が、私の心を摑み、そして両足を引きずり戻すのである

 眠気という肉体が睡眠へと

 空腹という肉体がイラつきへと

 停止という肉体が永久の無へと

 
 無を有と関連づけ、虚無と比較し、超越したかに奢り高ぶった禅的自我さえも引きずり戻すのである

 娘の死がどれほどであろうか

 
 


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