Dance日記帳
モクジ|キノウ|ヨクジツ
常磐津『汐汲み』の稽古が進む。
これほどまでに振り覚えが悪く、身体が思うように動かぬ己を疎ましく思う以外ない。 まるで、記憶喪失かのように、スッパリと抜け落ちている振り。 細かな部分が曖昧というよりも、自分が何処へ向けば良いのか、次に何をすれば良いのか、何もわかっていないのだ。 右へオロオロ。左へヨロヨロ。
今日の稽古では師匠も諦めたかのような素振り。 派手に間違えていようと、視界にさえも入っていない。 それが少しの安堵と少しの焦燥感が入り交じる奇妙な感覚。
確かに稽古途中に師匠が口にしたように、私はまだ踊り始めて半年少し。隣で踊るSさんは既に6年目だ。 小学校1年生が目一杯背伸びをしたところの、鶴亀算の意味さえも不明どころか、ランドセルさえアンバランス、そういう事だ。五頭身のうちは、どんなに背伸びをしたって限界があるというものだ。 身の程知らずとは此のようなことを言うのだ。 六年生の教室の一角に座り、授業を参加するだけでも十分。そう思えば少し気も軽くなる。 足手纏いにならぬよう。
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