カンラン 覧|←過|未→ |
長年にわたりあれこれ問題の種そのものだった あのおばあちゃんはもういない。 私たちはまるで騙されたかのように取り残された。 突然。 まるまるころころとしていた体は 他界するほんの少し前にしゅるしゅるとしぼみ、 細ぉく薄っぺらになっていた。 東京から舞い戻ってきた弟のアールは、 「実感がない。」とぼそっとつぶいた。 おばあちゃんが死んだ朝、 私は生理になった。 ずんと重たくなる体を感じながら、 生きているんだなと 病院のトイレでぼけっと思って泣いた。 おばあちゃんがいなくなり、 ほんの少し軽くなってしまった地球の上。
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