カンラン 覧|←過|未→ |
学生の頃住んでた酒屋の見下ろせるあの一室で 下を向いて自分の足あとをたどるように 同じところをぐるぐるぐるぐる回って いよいよぎりぎりのところまで来ると 学校のそばのだだっ広いあの空間に足を踏み入れていた こわがりのくせに どういうわけかそれはいつも夕暮れどきで ほんの束の間ベンチに腰掛けては せかされるように腰を上げ どこまでも続きそうなじゃり道を せかされるように南へ南へと歩いた 真っ暗二、三歩手前の暗がりを 車通りの騒音を求めてじゃりじゃり歩いた すべてが煩わしくて一人でいたいのに その先の横断歩道の ぺっぽっ ぺっぽっ というまぬけな音が耳に届くとどういうわけかようやく安心できた 大嫌いだけど たくさんの時間を過ごして たくさんの人と出会った あの街の風景 いまだに聴けないあの一枚
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