カンラン 覧|←過|未→ |
この年になって、 ぼちぼちではあるけれど いろんな繋がりができて、 出不精ではあるけれど あちこち出かけていくようになって、 ひとりふと感じる。 見知らぬ若き旦那さんと奥さんが すごく自然な感じで二人だけの会話を楽しみ微笑みあっている。 その心地よさげな穏やかさってすごいな、って。 このままがこの二人の日常なのかな、って。 いやいや楽しいばっかりが人生じゃないだろう・・・なんて, おもむろにポッケから取り出すのはいじわるレンズ。 そうして眺め直してもみるんだけど、 やっぱり目に写る二人の関係はとてもとてもやわらかで、 気がつけば,そちらの方からしゅるしゅると伸びてくる ほんわかした糸のようなものに 自前のいじわるレンズを取り上げられ 私は抵抗するすべもなく それでいて心地よく ぐるんぐるんに巻かれてしまうんだ。 すごいな、人間。 ちっこいな、私。 私はものすごい気分屋で、 そこんとこは自覚もある。 まだまだヴォケちゃいないさ。 きっかけはあまりにも多種多様なんだけど、 さぁっとカーテンがひかれるように心の中の背景色が変わる。 腰は重たいくせに心は軽い。 人には流されにくいけど、自分の気には流されやすい。 そしてそういう私の心の変化に 気づいてしまう敏感な心の持ち主ってのがこわい。 苦手だ。 一番苦手なものは?と聞かれたら、 「つっぱしる気持ち」 と答えるか 「つっぱしる気持ち探知機のような人」 と答えるか どっちにすべきか悩み込んでしまうほどこわいもの。 こっちは気づかれまいと平然を装うのに 多分手にとるようにわかっちゃうんだろね。 目の前に「はいよっ。」って あからさまに開かれたメニュウみたいに。 「こういう肉料理にはこの白ワイン。」 てな具合にうまく処理されるとなおさらこてんぱん。 白旗あげます。 それによって性懲りもなく背景色は変わってて、 頭も口もついていかない状態で 目だけはちっちゃな海を東へ西へ泳ぎまくるのです。 私よ、大人になれ。 そんな私のそばにいる人はまさに探知機だ。 皮肉は時に甘ったるいものなのかも知れませんね。 だからこそ未然に防げるすれ違いや勘違いもあるのでしょう。 あえてささいなことを取り上げると・・・ つい先日も立ち寄ったカフェで、 「ケーキセット。キャンブリック・ティーで・・・。」 と注文した私は、 「(ちょっとちょっと、お客さん)ケーキは!」 と店の人をいらつかせてしまったようでした。 (ケーキの種類ね。はいはい、今から言おうとしてたんですけどね・・・) と思い、4種類からひとつを選んで事なきを得たのです。 が。 えぇ、(しめしめ。事なきを得たぜ。)と思ったのは私だけだったようで、 お向かいから、 「エスさん。あなたは今、どっちから頼んでもえぇじゃろうがと思いましたね。」 との言葉が。 くぅぅぅ。 流しておいてはくれぬのか。 もはやメニュウに 『ケーキセット→お好きな飲み物+お好きなケーキ』 という順番で書いてあるんだもん・・・ なんてことを言うまでもなく。 そしてそのことまでも重々心得ていますよ的スマイルに今日も完敗。 ひきかけたカーテンに自ら巻かれるのです。 「見つけてくれるな。」と、ちっちゃい頃よくやってたように。
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