カンラン 覧|←過|未→ |
そおっと歩くそのわずかな振動すらからだじゅうに響きわたり、 しんどさこの上ない。 自らのからだのご機嫌をとるように、お願いするように、 なんとか家にたどり着き、 コートを着たまんまホットカーペットと布団の間で丸くなる。 しばらくたつと痛みも消え、 ほうっとひとここちじっくり浸かった湯船の中。 後頭部を浴槽のへりにのせ、 まっすぐ天井を眺めていると 疲れが薄らぐようなそれでいてどっとからだが重たくなるような、 眠りに向けた切り替えが始まる。 自堕落な私は、お風呂自体はそんなに好きではないが、 この瞬間を求めて毎晩律儀にからだを洗い、 髪を洗っているような気がする。 今宵風呂場にてごくごく周辺の変化に気づく。 いまさら。 私のことをずっとずっと昔から知っている人たちよりも 私のことをもっともっとわかってくれる人があらわれたということ。 今日私が感じた違和感、 その人とだったら感じることはなかっただろうな。 それから、そんな恵まれた状態に甘えることなく 伝えるべきことはきちんとことばで伝えよう。 これからもっとわかりあえるように。
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