カンラン
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天気と同じようにぐずついたこころ。 午前中、昨日から引き続き、ぴのきの機嫌が悪い。 いたずらばかりして、注意をしたり、手にしているものを取り上げると、きんきんと泣く。その泣き声にあわせて、左の頭、耳のうしろの辺りが痛む。
洗濯洗剤を台所と居間の絨毯の上に撒き散らしたところで、私もついに我慢ができなくなる。白い粉の山を両手ですくうそばから涙がぼたぼたと落ちて、べったりとした白いしみをつくる。 両手両足を粉だらけにしたぴのきもそばできんきんと泣いている。 ぴのきの手足を拭いてやって、とりあえずのところまで洗剤を片付ける。
寝間の窓を開けて、霧のように降る雨を見ながら泣いた。 うちの窓が山の斜面と公園に面していてよかった。 今日が雨降りでよかった。 この部屋ではない光景を目に映したかった。視界いっぱいに。 しばらくそうさせてくれたぴのきにもほんの少し、感謝を。
雨が上がったところで、公園に子どもを連れたお母さんがやってきた。 ぴのきとおんなじくらいの男の子が嬉しそうによたよたと歩いている。 この瞬間、どうしてあの親子はほほえましいんだろう。 この瞬間、どうしてわたしはこんなにだめなんだろう。 足元に、顔を涙でべたべたにした子ども。
お昼頃になって、なんとかいつも通りに外遊びと買い物に出かける。 外で元気に歩き回り、うちに帰って昼ごはんを食べさせると、1時間ほど寝てくれた。
昼寝あけからは、いつものぴのきに戻った。
足のうらからとんとん叩いたりもみもみしてやると、左の頬にえくぼをつくって、私の顔を見つめて、ごろり横たわる。 こんなにいい顔をしているのを見るのは、とてもとても久しぶりな気がする。 しんどい時間って、なんて長く感じるものなんだろう。
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