カンラン
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夜。 布団にまっすぐに横たわるのって充電中の携帯に似ていると思う。 一日を終えて消耗した分を取り戻し、次の日に備える。 私は携帯。最新モデルでは、ない。
友だちの間でトイカメラブーム。(なぜ今)
その昔、3、4年勤めた職場のお餞別にいただいた我がロモくんは長いことしまいこまれたまま。 (つい最近カメラ用の首かけストラップを編んだのだけれど、ロモくんではなく使用頻度の高いデジカメの方に取りつけた)
たいせつなものを見つけようとしていた独身の頃、なんてことない日になんてことない場所を歩いてはシャッターをきった。 このふたつの目に見つけられないものがレンズを通してフィルムに焼きつくのではないかと期待して。
たいせつなものが多すぎる今、駆け抜けていくきらめきを見逃さないように、できることといえば目を見開くこと。ときにはそっと手を伸ばし丁寧にすくい上げること。
のほほんとしあわせなようでいて、少しでも無駄にしたくないと必死なようでいて。ふわりふわりと心地よさそうに風に吹かれていながら、二本の足の十本の指はむんずと大地をつかんでいる。 しあわせは花畑ではないのだ。
今は偶然よりも必然を味方につけたい。 攻めよりも守りを。
ロモくんにはまだまだ眠っていてもらうことになりそうだ。 嗚呼、そう言ってる間にも、きらり。
今宵も、充電。
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