日々、美しくあれ〜一日一萌〜
時計 - 2002年10月16日(水)
この部屋には時計がない。
永遠に生きるものには、時間は必要ないから。
でもときどき時が止まっている気がする。
自分は本当に生きているのか?
ある日、なぜ時計がないのかきかれた。
―永遠に生きるものには時間は必要ないから―
今まで何度もされた質問。そしてみんな去っていく。
はずだったのに―
ある日、なにか好きなことはないかときかれた。
そんなことをきかれたことはなかったし、なぜきかれるのかも分らなかった。
いつもつまらなそうだから、とだけいわれた。
好きなことがあればいいのか
ある日、得意なことはないかときかれた。
得意なこと?特有の能力ならある。
人の未来が少しみえる程度だけれど。
それがどうしたんだ?
ある日、人を連れてきた。
どうやらその人の未来を占うらしい。
何かしたほうがいいと思った。
そういわれてみれば、たしかに少し楽しくなった気がする。
ある日、なぜ自分といるのかきいてみた。
永遠に生きるものが気持ち悪くないのか。
わからない、といわれた。
いっしょにいたいと思ったから、とも。
そのとき、一瞬未来に闇がみえた気がした。
そしてぱったり来なくなった。
ある日、見知らぬ人が来て沈痛な面持ちをつくって言った。
事故でした、と。
そして贈り物らしき箱を渡された。
どうやらそれを渡しに来る途中でのことだったらしい。
箱を開けると時計があった。
それに、メッセージがひとこと。
楽しい時が刻めますように―
うん、それは教えてもらったから
この部屋には時計が一つある。
それに見守られながら自分は生きている。
そして―
永遠のときを刻み続ける
-2002.11.04up-
四年くらい前に書いたもの。
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