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.◆◆第1話:『彼女の彼』�ァ丙能�回)
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3時。 家に帰ると、姉・桂(かつら)がいた。 「あれ、もう帰ってきたの?今日は夏樹くんとデートじゃなかったっけ?」今日、別れたの。そういうと、姉貴は急に真顔になった。 「夏樹くんに、そう言われたの?」その問いに首を振り、自分から言ったの・と答えて、今日の出来事を話して聞かせた。 「馬鹿じゃないの、あんたって!黙っていればまだ一緒にいられたかもしれないじゃない!」 そうかもしれない。いや、夏樹のことだ、よっぽどの事がない限り、自分からは言い出さないだろう。楓だって、あたしの『彼』をとってまで自分の想いを通す、なんてことはしないだろう。 ふたりの想いが、あたしにはとても重かった。 三人のバランスを保つのがつらかった。 夏樹との恋を終わらせたくなかったし、楓との友情を壊す勇気さえもあたしにはなかった。それでも、言わずにはいられなかった。 姉に話しているうちに、いつのまにか、あたしは声をあげて泣いていた。これで本当によかったのだろうか?そんな思いばかりが頭の中をぐるぐる回る。後悔してないなんて、嘘になるから絶対いえない。 夏樹と友達に戻る決心をしたつもりでいたけど、明日学校で会ったときに素直に笑えるだろうか。楓に今まで通り接することができるだろうか。 そんな不安なきもちが胸に詰まって、いつまでも涙が止まらなかった・・・。 「おはよー!」翌日・月曜日。 昨夜は、ほとんど眠れなかった。 それなのに、学校に着くと不思議なくらいいつものようにしていられる自分がいた。 「今日は富田氏と一緒じゃないんだね。どーしたの?」クラスメイトが聞く。 「うん、あのね・・・」答えようとしたとき、別のクラスメイトたちが騒ぎ出した。 「こずえー!あたし昨日見ちゃったのよ、遊園地で富田と楓が一緒にいるのを。どーなってるの、あんたたち」 あたしは素直に答えた。 あたしと夏樹が別れて、楓と夏樹がつきあうことになったことを。
がらり。 教室のドアが開いて夏樹と楓が入ってきて、一気にみんなの冷やかしの的になる。 そんな中、あたしは二人に向かって言った。 にっこり笑って、明るい声で。
「・・・・・・おはよっ!」 第1話:『彼女の彼』 END
2002年03月16日(土)◆◆
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