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.◆◆第3話:『眼鏡越しの空』�Α丙能�回)
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「ほぉら、あたしの言った通りだったでしょ?眼鏡とって化粧すれば瑶子さんに負けない、って」鏡に映るあたしを見て美和子が得意気につぶやく。 「いっぺんやってみたかったのよねぇ、とーこちゃんを変身させるの」満足気に言うのは麻衣のお姉さんの由衣さん。 あれから半年たった、2月のとある日曜日。 今日はいよいよお姉ちゃんの結婚式。 あたしの家でお姉ちゃんの仕度をしたのだけど、担当の美容師さんは麻衣のお母さんと由衣さんにお願いした。お姉ちゃんの支度がすんだ後、美和子たちのたくらみ通り、今度はあたしが鏡の前に座らされた、というわけ。 自分でもびっくりしていた。あれほど気にしていた目の傷も全然目立たないし、髪型変えて、ちょっと化粧しただけで顔が違ってみえるなんて。由衣さんが言う。「とーこちゃんってば結構綺麗だし、背が高くて、髪だってきれいなロングなのにそれに気づいてないんだもんねー。嫌になるくらい色気がない、って言うかそっけないと言うか・・・ねぇ」
「本並先生、おめでとー!」 教会での式が終わり、外に出るお姉ちゃんと本並先生。待ちかまえたように紙吹雪まきーの、クラッカーならしーのする生徒&招待客の皆様。 あたしの姿を見つけた美和子達がいっせいにかけよってくる。 「ひょえー、とーこさん化けたわねぇー」感心したようにつぶやく絵里。わいわい大騒ぎしているところにやってくる新郎新婦。 「みんな来てくれてありがとうな」本並先生・・・もとい(今日から)お義兄さんがもうこれ以上はない、ってくらいの笑顔であたしたちに言う。 「休日返上して来たんだからさあ、よろしくね、ハネムーンのお・み・や・げ」ずうずうしいお願いをする梢を軽くこづきながら、お義兄さんはあたしに一言。 「いい女してるじゃねーか、瞳子」ちょっと眩しそうな視線であたしを見ている。
「これからもよろしくな。おまえは今日から俺の大事な妹だから」 おまえは、俺の大事な妹。その言葉にまだ少しこころが痛むけれど。 いつかは素直に心から彼のことを「お義兄さん」と呼べる日が来るのだろう。 いつか、彼以上にあたしの心を占める人が現れれば・・・。
幸せに向かって歩いていくお姉ちゃんと本並先生。その姿を見ているうちに、不意に涙が一つ、伝って落ちた。 「瞳子ちゃん・・・大丈夫?」そばにいた美和子が心配そうにのぞき込む。 「いやあ、今、目にゴミ入っちゃって・・・コンタクトってこれが嫌なのよねぇ」 あわてて言い訳しながら美和子から目をそらし、頬におちた涙をぬぐって空を見上げた、涙がそれ以上こぼれないように。
レンズ越しに見上げた青空は涙ににじんで、それはまるで天を流れる水のように見えた・・・。 (第3話「眼鏡越しの空」終)
2002年04月29日(月)◆◆
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