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.◆◆第4話:『愛しのハピィデイズ』 ��(最終回)
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「卒業生代表答辞・総代・3年B組牧島瞳子」 入学式の時に瞳子ちゃんと友達であることを誇りに思ったあたしは、ついに卒業を迎えた今日、同じ思いで瞳子ちゃんを見ている。 だけどあの時と違うのは、もうこれが最後だと言うこと。毎日のように顔を合わせていたみんなともう会えなくなると言うこと。泣くつもりなんかないのに涙が出そうになる。 「・・・この3年間、楽しく、そして有意義な日々を、時間をともに過ごした仲間達、私たちを導いてくださった先生方、今日のこの日を迎えるにあたり、18年間育ててくださった両親そして家族・・・私たちを見守ってくれた全ての方々に感謝します。 ここで学んだ、この伝統ある学び舎で培った『城山魂』を胸に私たちは新しい世界へ歩いてゆきます。 平成七年三月一日・第三十三期卒業生代表・三年B組牧島瞳子」
それから2週間後。 亨と瞳子ちゃんが旅立つ日がやってきた。 あたしは空港に見送りに行った。免許を取ったばかりの尚登くんが空港まで送ってくれる。 瞳子ちゃんは手続きの都合上しばらくは大学のある東京に滞在する為に、同じく東京の大学に進学する亨と一緒に行く。・・・というよりも出発日をわざわざ同じ日にしたのは、ちゃんと3人で『お別れ』がしたかったのだということを、お互いに言いはしなかったがなんとなく分かっていた。
「亨、東京まで瞳子ちゃんと二人きりだからって変なことするんじゃないわよ」こんなに楽な気持ちで言えるのはまだ亨に恋してなかった十二・三歳の頃以来じゃないだろうか。 「冗談じゃないわよ。そんなことしたらあたしたちの仲もこれまでだからね。 わかってるんでしょうね、亨?」きついけど笑いながらの言葉が瞳子ちゃんらしい。その言葉を受けて、亨がにやにやと笑いながら尚登くんに言う。 「それよりも、俺たちがいなくなったのをいいことにおまえらのほうこそ変なことすんなよ。空港(ここら)あたりってそういう建物多いし」 「ばかやろー、俺がんな事するかよ」反論する尚登くんの顔は真っ赤だ。ほどなく、アナウンスが搭乗手続きの最終案内を告げた。 「じゃあ、いくわねあたしたち。見送りはここまででいいよ」 「え、最後まで見送るよ」あたしが言いかけたのを尚登くんが止める。瞳子ちゃんの目がうるんでいて、かなり強がってるのがわかったから。
「じゃあね、美和子。それから桑原、美和子のこと頼んだわよ。あたしたちの大事な美和子のこと、あたしたちの代わりに見守っていて。泣かせたりしたら承知しないから。この子、こう見えても泣き虫で寂しがり屋なんだから」 「おまえのほうが泣きそうだよ、牧島。まかせろ、美和子のこと。絶対に泣かせない」 「絶対だからね!もしなんかあったらロンドンから駆けつけてやる」 その瞬間、無情にも響き渡る呼び出しアナウンス。 『ただ今より十時発・東京行きの搭乗の最終案内を行ないます・・・・・・』 「じゃあね!」 二人がゲートの向こうに消えていく。二人が見えなくなった瞬間、あたしは目の前がかすんで思わず尚登くんの腕にしがみつく。 「あたし、笑えてた?二人のこと・ちゃんと見送れた?」 「大丈夫。俺が見る限り、いつも通りの美和子だった」 「はじめてなの、三人が離れ離れになるのって。いつも三人で歩いてきたの・・・あたしこれから大丈夫なのかなあ。一人でやっていけるのかなあ」 「大丈夫。俺が二人分がんばるから。・・・それにしても、俺は美和子達がすごくうらやましいよ。親戚でもなんでもないのに、実の兄弟みたいにつながりの強い3人 だったもんな・・・。あ、あれじゃないのか?二人が乗ってる飛行機」 尚登くんが空を指さす。あたしたちは大きな鳥のような飛行機が空を切り裂いて彼方に消えて行くまで見送った。
永井亨・牧島瞳子・笹原美和子・・・そう、あたしたちは最強の3人だった。 あたしにとって、親よりも兄弟よりも他の友達よりもこの二人が大切で、必要だった。 こうして道は別れてしまうけど、いつだったか瞳子ちゃんが言った 「白髪頭のじじい・ばばあになっても縁側で茶すする3人でいたいわよね」
いつか、あたしたちはそんな3人を目指すのだ。 [THE END]
2002年05月18日(土)◆◆
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