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.◆◆第4話:『愛しのハピィデイズ』 ��
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一年後。 あたし達も高校3年生になり、いよいよ本格的に進路のことを考えないといけない時期がやってきた。 「笹原、おまえの希望は短大の食物栄養学科だったな。今のままでも十分大丈夫だけど、おまえの場合理系がちょっと弱いからこれからはそっちに重点をおいて勉強しろ」 あたしの小さい頃の夢は『料理を作る人になる』ことだった。ちょっとめざす道は違うけど、短大の食物栄養のほうに進んで調理師と栄養士の資格を取りたいと思ってる。 「・・・ありがとうございました」ママと二人、おじぎをして教室を出る。 「あー三者面談も無事終わって良かった。ママね、美和子の進路に文句つける気はないから、自分のやりたいようにやるんだよ」 「うん、わかってる。ありがとママ。・・・じゃあたし寄るとこあるから。先に帰ってて」 「はいはい。あまり遅くならないうちに帰ってくるのよ。尚登くんによろしくねー♪」すっかりばれてーら・・・・。帰って行くママの後ろ姿を見えなくなるまであたしは一人で真っ赤になりつつ見送った。
「ごめんねー、待った?」 「いや、俺も今終わったとこ」待ち合わせ場所の図書館につくと、尚登くんが読みかけの本をおいてにっこり笑う。 「先生なんだって?」 「あのねぇ、やっぱり理数系をまじめにやれってさ。そーいう君はどーなの?」 「俺が実力的に無理な大学選ぶと思うか?バッチリ合格圏内だって」 今日は二人とも三者面談だったので、終わったら待ち合わせしようというわけで、久しぶりに彼に会えるのでわくわくしていた。 「ところで、昼どうする?」 「そういうと思って・・・じゃじゃーん!」 「おおー!手作り弁当!いいの?」 「どーぞー。はい・これお茶ね」 今でこそこんなあたしたちだけど、少なくとも半年前まではこんなんじゃなかった。 亨は、あの一件の後瞳子ちゃんに告白した。瞳子ちゃんの返事は当然「NO」。3人のあいだが少しずつ気まずくなり始めたのもその頃から。 あたしはあたしで亨のことを思い切れなくて苦しくて、ついに尚登くんにまだ亨のことをあきらめ切れないともらしてしまった。ののしられても、このままふたりの仲が消滅しても仕方のない状況だったのに、それでも彼は許してくれた。今のあたし達があるのも、彼のこころの広さがなきゃありえないことだった。
「聞いた?とーこさん留学するんだって」卒業間近になった2月、あたしたちはその話題で盛り上がった。 瞳子ちゃんは、イギリスの大学に2年間留学し、それから大学の3年に編入することのできる外語大学を選んだ。 「英語をきっちり勉強したい、ってのもあったし、それに・・・まだつらいんだよね、瑶子姉ちゃんたちを見てるのが」 身内以外に話すのは美和子がはじめてだ、と瞳子ちゃんは苦笑いしながらつぶやいた。
亨は東京の大学に進む。 あたしは地元に残る。 いつまでも3人いっしょに歩いていけるとは思っていなかったけど、一方では3人ずっとこのままでいたいという気持ちを抱いていた。 みんなそれぞれ自分の道を歩いていく。 あたしたち3人だけじゃない、梢ちゃんも、楓ちゃんも、絵里ちゃんも、麻衣も、それぞれ自分のやりたい道を見つけてる。 誰もが一度は通らなきゃいけない道。だけどこのままでいたい、学校という楽園の中でいつまでもみんなと笑っていたいと願うのはあたしが子供だからなのだろうか。こんなことを考えるのはあたしだけなんだろうか・・・ 卒業が近づけば近づくほどこんな思いが強くなった。 (『愛しのハピィデイズ』�Δ紡海�)
2002年05月15日(水)◆◆
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