.◆◆第5話:「GROWIN’UP」 ��

「今から志望校のランクを上げるだと?何考えとんじゃ・海藤!」
 担任のあきれ顔。無理もない。もう志望校を決めてそれに向かって準備しないといけない中3の冬。ランクを下げる奴はいても、上げる奴なんてそういるもんじゃない。
「・・・で?どこにするんだ?藤生女子か?紅稜か?」
「それが・・・城山なんですが・・・」
「城山だと?何考えてるんだ?わかってんのか?城山って言ったらうちのクラスだと牧島ぐらいだぞ、余裕で合格できるのは。おまえの成績じゃとうてい無理」
そりゃそうだろう。瞳子さんといえばうちのクラスはおろか学年全体で3本の指に入る人なんだから。あとは美和子のようにクラスでも上位5人ぐらいしか行くことのできない進学校だから。
「本当にうちのクラスは恐いもん知らずと言うか、身の程知らずばかりだよなぁ・・・。永井が城山志願ってだけでも頭が痛いのに、おまえもそんなこと言い出すなんざ。・・・でも言い出した以上は合格するようにがんばるってことだよな?それなら期末の成績を少なくとも十番は上げるようにしろ。できないならあきらめろ。それからでも進路変更は十分間に合うから」

 あたしはそれまで自分の成績なら、自分の家から一番近い明生高校に行こうと思っていた。だけど、それをあえて城山に変えたのは、桑原さんがいるから。
「CINQ」に入ったあの日、あたしは桑原さんと話をしている中で彼が城山高校の生徒であることを知った。そして、彼はぽつりと一緒の学校ならいいのにな、と言った。
 あたしはその話を聞きながら、城山で軽音部に入って学校でも一緒にバンドができれば・・・と思った。
 そんなあたしの決意に、瞳子さんと美和子が何も聞かずに協力してくれた。放課後・時間の許す限り、二人はあたしの猛勉強につきあってくれた。
二人のおかげで、あたしは城山の学生になれた。もちろん、瞳子さんも美和子も一緒に。   
 
 「絵里!」昼休みの2−Aの教室。
「あ、桑原先輩だー。いつ見てもいいおとこー」めざとい麻衣がつぶやく。クラスの女子の「いーなー」と「このやろー」光線を受けまくりつつあたしはそっと教室を出る。
「なに?」さりげないふりをして聞くけれど、実は心臓がばくばく言ってる。
 
 無事に彼と同じ高校に入学して一年がたった。
 初めはただの仲間としか意識しなかったのに、いつのまにか気持ちが恋へと向かっていって、「桑原さん」から「浩司」と呼び方が変わった頃、彼はあたしの「恋人」になった。出会った頃はなんとも思わなかったのに、今は浩司の言葉や表情、しぐさに魅かれる。
「今日、夕方空いてるか?嶋田さんが緊急ミーティングするからって」
「あたしはだいじょうぶだけど・・・麻里と連絡とってみるね。」あたしは麻里のポケベル�發魏,后K穃い蓮⊂觧海犬磴覆�て藤生女子高に通っている。あたしと浩司は同じ学校だからいいけど、こういう緊急の場合はすれ違いになることが多いから、麻里とふたりで話しあい、親に内緒でポケベルを買った。
二人ともバンドをやっていること、二人とも彼氏がいること・・・どんどん親への秘密が増えていく。
                (『GROWIN'UP』��に続く。)

2002年06月09日(日)◆◆


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