みやにっき
詩人を名乗ることにした。

2004年03月08日(月) 美しい手

昨日の「アナグマさんとマッチちゃん」はあちこちから感想をいただきました。
マッチちゃんはしばらく僕のこころのアイドルです。
満ち足りる,ということは。
責めずに,恥じずにいられるってことだ。

仕事の締め切りを間違えた。
「やばい!早くやんなきゃ!」と思って週末頑張ってやってたら。
一週間近く早く仕上げてしまったぞ。
この余裕の間に他の仕事を頑張ろう…。

放課後に外部講師を呼んで摂食指導の講習会があってとても興味深かった。
作業療法士の人と一緒に仕事をしてみたい。
あるいはどうにかして勉強ができないだろうか。
新しいことを学んだわけではないのだけれど,やはり日々忘れがちだ。
新鮮な気持ちで日々あり続けることって難しい。
ほんと難しい。
忘れがちな自分を恥じつつ。
ありがとうって言いたい。



夜に,大好きな人と話をしたので,少しだけ。

僕の腕は,そこいらの女の子よりいくらかたくましいのです。
スポーツはやっていないのですが,重い物を持ち上げることは得意です。
毎日,子どもたちを抱き上げます。
細身の服だと,腕肩がきついのです。

僕は爪を伸ばすことはしません。
子どもに傷をつけてしまうからです。
衛生的にも望ましいことではないからです。
磨いたりすることはありますが,マニキュアは付けません。
指輪もつけません。

僕の手のひらは,かたいのです。
よく動くので肉付きがふっくらとしています。
水仕事もたくさんするので,皮膚も厚いのでしょう。
かたくて,かさかさとしています。

僕の手には傷がたくさんあります。
強く噛まれると,内部で脂肪が割けて皮膚の色が変わってしまいます。
引っかいた傷は皮膚が削られるので,必ず痕が残ります。
美術をやっていたので,刃物で切ってしまうことも多くありました。
ストレスから自分で掻き毟って作ってしまった傷もあります。
たくさんたくさんの傷があります。
体温が上がると,傷は赤くなって浮かび上がります。
体温が下がると,傷は青紫に浮かび上がります。
何も言われることはありませんが,手をじっと見られることは多いのです。

僕は,女の子の白い手がとても好きだよ。
華奢でしみがなくてすらりとしてすべすべでやわらかくて。
重い物を持ったり戦ったり水仕事をすることがなくて,たおやかで。
日焼けをすることもなくて爪を伸ばしてきれいに飾って。
余計な,いかつい筋肉なんてついていなくって。
傷だってないんだ。
可愛らしい服や華奢なアクセサリーの似合う,美しい手。

ああ僕の手は。
ちっともおしゃれじゃないんだ。
ちっともスマートじゃないんだ。
ちっとも可愛らしくないんだ。
誰にも何も言われることはないのだけれども。
時々,とても,とても,とても,とても,みじめでたまらないんだ。
何も言われることはないのだけれども。
馬鹿にされているような気がするんだ。
みっともないって哂われているような気がするんだ。
蔑まれている気がするんだ。
哀れまれている気がするんだ。
おしゃれじゃないスマートじゃない可愛らしくないって。
みっともない恥ずかしい手だ,て,言われているような気がするんだ。
恥ずかしい,恥ずかしい,恥ずかしいんだ。

父や母を哂う子どもたちみたいに。

僕の手は,たくさんの尊いもの美しいもののために一生懸命に働く。
いっぱいに働く,よい手だ。
よい手だ。
美しい,手だ。
僕は誇りに思う。

と,そう言ってやりたいものだが。
すっぱりと言い切れるほどには,まだ,僕は成熟できていないようです。
なので言い聞かせます。
今日もよく働いたね。
今日もよく頑張ったね。
たくさん泣いて,それからゆっくりと,言い聞かせます。
毎日,毎日,言い聞かせます。
あなたは他人を責めなくても,自分を恥じなくてもいいのだよ,と。
毎日,毎日,言い聞かせます。

「それでも美しく保つのが大人ってもんよ」とか言わないでね。
今日もたくさん,引っかかれて傷をこさえました。
たくさん血が出ました。
その十倍くらい,たくさん,抱きしめました。
僕は少しもおしゃれじゃないけれども。
この体とこの心で,生きていてもいいんだと,思う。



大好きな人へ。
僕はマッチちゃんもアナグマさんもフランシスもグラニーさんもジャンも子どもたちも。
ただ,満ち足りるってことを,知っているのだと,思います。


 <なんだっけ?  まとめて  そんでどう?>


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