祈って。 祈って。 僕の大事な子が,新しい場所で,どうか愛されますように。 あの子は,たったひとり,旅に出るよ。
祈って。 お願い,祈って。 僕の大事な子が,いま,死にかけているんだ。 祈って。
食事前とか。 眠る前とか。 エレベータの「閉」ボタンを押さずに待つくらいの時間でいい。 ほんのちょっとでいいんだ。 祈って。
あの子たちのいのちは,こんなんで終わるわけがないんだ。 この世界はこんなにも美しくて,美しくて,美しくて。 残酷だけれども。 とても残酷だけれども。 でも,いっぱいのさいわいに満ちているはずなんだ。 生きていて,いいはずなんだ。
僕はまた,あの子たちと一緒に,笑いたい。 生きていきたい。 だから祈って。 お願い,祈って。 あんたの人生一瞬も損になったりしないから,一瞬でいいから祈って。
かみさま あの子たちまだ,9つなんだ
ああ。
先生はね,君が泣いている時に,のんきに詩なんて書いているよ。 いま君が身をいっぱいに震わせて泣き叫んでいる時に。 いま君がベッドの上で幽かな声を上げている時に。 のんきに,詩なんて書いているよ。 技術がうんぬんとか,シーンがうんぬんとか,詩人としての意識がうんぬんとか。 ごはんだって,普通に,食べたよ。 先生さあ,お昼はおそばだったし,晩はカレーだったんだ。 先生さあ,ストパかけにいきたいなーとか,本ほしいなーとか。 新しい運動靴買っとかないとなーもうすぐ新学期だしーとか,考えているんだ。 泣ける映画を見に行きたいなーなんて,考えているんだ。 あと,のんきに詩なんて書いている。 そりゃもう,詩人だからね!詩が趣味だからね!!
ああ。
何を赦されて生きているのか。 何を赦されたつもりで生きているのか。
くそったれ
くそったれ
お願い 生きて
|