管理人の想いの付くままに
瑳絵



 今は昔の物語 第三話

「これで納得いったか?」


そのツネヤスの問いに答えるならば「NO」だろう。
だって納得がいくはずない。
いきなり自分には兄がいて、空色の瞳の所為で森に捨てられたなんて話し、納得いくほうがおかしい。

別に、兄と言う男が森に捨てられたことではなく、"何故それを自分に黙っていたのか"である。
自分には全く関係の無い話では無い筈だ。
むしろ、知っておかなければいけないとさえ思う。
なのに何故皆話さなかったのだろう。


そんな思いが姫の頭の中を渦巻いていた。



そして、今日も姫は森を見つめていた。

"セン"と言うなの兄。
今何をしているのだろう?
1人で住んでいるのだろうか?
寂しくはないのだろうか?
そもそも1人でどうやって生活をしているの?


そこまで考えて姫はハッとした。
そうだ。捨てられたのはまだ小さい頃。
だったら1人の筈が無い。
誰かが何らかの形で関わって、少なくとも食事の世話ぐらいはしている筈だ。
だったら・・・。



もしかしたら森に行けるかもしれない。
そんな思いが姫の頭を過った。




***




そして、姫のその予感は見事の的中した。
ある晩のこと。
もう皆が寝静まった頃、森に向かう馬車を見かけた。


あの馬車に何とか潜り込めれば・・・。


そんなことを考えた姫だったが、その考えは不必要になった。
急に王が言い出したこと。
それは・・・。

「ヨルを森に連れて行け」

そんな言葉だった。
姫は我が耳を疑った。
まさか、王自身がその様なことを言うなんて予想もしていなかったから。
でも、その申し出は姫にはとても嬉しいものだった。
だから素直に喜んだ。

が、王はある条件を出した。
その条件とは、

「ヨルが1人でセンに会うこと」
「センには自分が"姫"であることを言わない」

と言うことだった。


何故そんなことを言うのか訝しく思いながらも、ヨルはその条件を飲んだ。




***



そして、その申し出から3日後。
姫は真夜中、従者達と共に森へと向かった。

従者達は森の入り口まで付いて来ると城へと引き帰した。
そして、
森に入って暫く進んで奥まった場所に1人の男がいた。
そして、その姿を見て姫は目を見開いた。


亜麻色の髪は月の光を受けて金色に輝いて見える。
色白の肌は、夜の闇に浮きだって見える。
とても幻想的なそんな男。
そして、此方を見はその瞳は本当に澄み切った空のようだった。
そう、雲一つ無い、真っ青な空の色。



姫はその姿に思わず見蕩れてしまった。
そして、声も出せずにただただ佇んでいた。





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あとがき

ハイ、第3話です♪
今回ちょっと短めカナ?
まぁ、その辺は気にしないで下さい(爆)

そして、今回やっと鮮君登場!!
かなり、無理な設定ですが・・・(汗)

因みにココで一つ断わっておきます。
4話では、"姫"じゃなくて"ヨル"になります。
姫としての行動じゃないですから。
鮮君との対面の時は全て"ヨル"です。
ややこしくて申し訳御座いません。


2002.4.1管理人拝

2002年03月19日(火)
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