Diary


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2003年01月25日(土) 冬の天使

早朝の通勤中、ふと北山に目をやれば、峰は雪雲に覆われていた。鴨川の岸辺も真っ白な霜をかぶっており、見るだけで体感温度が2、3度下がるような朝の風景。

そんな中、いつもより早めに職場に到着すると、職員通用口の前には、バイトのGさんが震えながら立っていた。我が職場は常勤職員のみが鍵を持っているので、バイトの彼女は中に入れないのである。

私の姿を見たGさんは、まるで舞い降りた天使を見るような視線を私に向けた。「鍵を持っている」・・・それだけで私は、彼女にとって神の使いの如き存在に他ならないのである。

しかし、実は私は、鍵を自宅に忘れてきていた。

その事実が明らかになるや否や、如実に変化するGさんの視線。私は、期待を裏切られた彼女の冷たい眼差しと寒風にうち震えながら、次なる常勤職員の出勤を扉の前で待ったのである。

数分後、常勤職員Yが門をくぐってやってきた。ああ真の天使の到来。西門なのに彼女の背後に光が見えたのは幻覚か。吹きすさぶ風の中からパイプオルガンが鳴り響いたのは幻聴か。Yの手が警備を解除し、扉の鍵を開ける。そしてGさんと私は、ようやく楽園に足を踏み入れたのである。

(短編小説「冬の天使」 完) ※執筆時間10分


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