コハルビヨリ
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わたしには不釣合いな一台のカメラ。
使い方もよく分からないまま写真を撮る。 昨日少しこのカメラの話を聞く機会があって、 少し思い出してた。あの人のこと。
このカメラはあの人がこの部屋に置いていった もののなかのひとつ。
前に彼と別れたあとに、ちょっとだけ一緒にいた人。
カメラが好きなひとで、わたしにもひとつ プレゼントしてくれた。
たぶんわたしがいままでプレゼントされた ものの中でいちばん高価なものだろうな。
「君には文章でも絵でもなんでもいいけど なにか作り出すことをしててほしい。」
あなたのその言葉は一生わたしに何かを 作り続けさせるかもしれない。
今はもう恋愛感情は残っていないけど、 いろんなことを残してくれた。
あなたはいい大人ではなかったかもしれないけど わたしを少し大人にしました。
つき合わせてしまってごめんね。
わたしはわたしの幸せを見つけました。
きっともう連絡をとることも会うこともないけど わたしは写真を撮り続けると思います。
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