コハルビヨリ
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キスをして。
起きたくなくなって駄々こねる私に 「じゃあ仕事が終わったらまた来るから。」 お兄さんはそう言った。
一日そわそわしてた。 たぶん、好きになってしまった。
でもなー…というのもなくはなかったけど ひとまず夜また会えるのが嬉しくて。
お兄さんはドーナツを持ってやってきた。 いつになく寡黙。
「こういうの緊張するよ、ね。」
その緊張をなくす方法は?
一度近づいちゃえばいい。
身なりを整えたお兄さんはまだ寡黙。 もう緊張ではなくて、なにか話したいということなんだろう。
「コハルちゃんはどうしたい?」
どうしたい……か、よくわかんないけど 好きなんだと思います。よ。 お兄さんは?
「友達でい続ければそのままでもいられたのかなって。 彼女がいなければ、一直線にいってたと思うけどね。 こうなることはきっと予想ができてたからこそ あなたには自分に彼女がいることも話していたし 彼女にもあなたのことを話して、予防線を張っていたのに。 感情にそれを崩されちゃったよ。見事に。
わがままを言えばこのままでいたいとも思うけれど それは(私の気持ちを考えれば)あとできっとつらくなるから しないほうがいいんだろうな、と思う。」
「会わないほうがいいのかとかも思う」けど、 お兄さんの友達たちとも会っちゃってるため これから連れてってくれるはずだった仲間内の飲み会とかに 私が行かないことになったらそれはそれで 「なんかあったなって思われるよね(笑)」 ということでそれはなさそうだけど。よかった。
まったく話に出てこなかったから 彼女と別れるって選択肢はないの? って一応きいてみたけど、ない様子。 ですよね。
友達、でいいんじゃないでしょうか って私が言い出したくなるほど お兄さんはいろんなことを考えてくれてた。 でも理性を守れなかったんだね(笑)。 愛すべきダメ男だね。
もうこういう距離に近づけないとしても、 これ以上近づけなくても、 友達でいたい。
むしろ友達のほうがいいのかもしれない。 好きは好きだけど、お兄さんの友達でいられたら きっとこれから楽しいと思うから。 恋愛のつらいところは味あわなくて済む。
「あなたと一緒にいて楽しいのは事実。」
それで十分です。
スイッチ切らないとかな。
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