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私は、ピアノに取り組む心がけについては、結構、厳しいことを言いますが、しかし、お行儀などについては、寛大なほうではないかと思います。 しかし、この、お行儀についての寛大さというのは、生徒さんが、レッスンを受けるべき最低限の心がけを了解していてこそ成り立つもので、そうでなければ、レッスンは、秩序のないものになってしまい、ピアノの上達どころではなくなってしまいます。 この辺り、お行儀がよければ良いとか、悪いからいけない…とか、単純に考えてしまった方が、ある意味、指導は楽にできるのかも知れないな…と思うのですが、それでは、音楽をする上で大切な感受性を育てることとができにくくなってしまうような気がして、今に至っています。
しかし、この数年、子供たちを見ていて、“がんばる”とか“上手になりたい”という気持ちや希望があっても、それらの思いがどのように行動に結びつくのか、さっぱり理解できないケースが多いような気がします。 これでは、本人が、ピアノが好きで、上手になりたいと思っていても、それらの希望がかなえられるのは難しくなってしまいます。 もしかしたら、レッスンでとるべき態度のようなものが分からないのかも知れません。
ちょっと話は横道にそれますが、何となく、社会全体が、状況に合わせた行動を取る…というような事に関して、ルーズになっていることの影響なのか、それが、現代的で格好が良いと思っているのか、そういったことをきちんと教えない傾向があるのかな…という気がします。 体育会系(?)の、表面だけの挨拶や、やる気は必要ないと思いますが、自分が本当にやる気を持った時に、どのように行動したら良いのかまでがわからないのは、子供にとっては不幸なことです。 あるいは、表面的なお行儀のよさを否定したばかりに、本当に必要な、自分自身のためになるコミュニケーションの方法まで、なくしてしまったのかも知れません。 だとしたら、なんと悲しく、おろかなことでしょうか…。
閑話休題。
そういうわけで、レッスンを受ける時に、どのような態度が良い態度なのか…というのを、積極的に指導してみることにしました。
やり方は、以下のような感じです。 (ちなみに、このやり方は、学習障害児に対する指導にヒントを受けました)
・おはじきを10個用意して、レッスン中、目に入るところに、置いておきます。 ・レッスン中、それにふさわしくない言動があった時には、理由を説明して、このおはじきを取ります。おはじきが、1つもなくなってしまったら、その日のレッスンは中断します。生徒にも、そう説明します。 ・具体的に、どのような時におはじきを取るか…ですが、基本的に、その日の出来や宿題の量とは別に、レッスン態度そのものを評価します。極端なことを言えば、下手でも、態度がよければ良いのです。 ・レッスンが終わるまで、おはじきの数が変わらなかったら、とってもとっても褒めてあげます。場合によっては、簡単なご褒美(飴くらいですネ)をあげても良いでしょう。 ・翌月になったら、最初に準備するおはじきの数を1つづつ減らしていきます。
このやり方をしていて面白いのは、レッスンと関係ないことをしたくなった時に、横目でおはじきを見ながら、自分の気持ちを抑えているのが分かる事です。 そうして、自分の気持ちを抑えることで、レッスンで何を言われているのか…という方に、気持ちが向きやすくなっていくような気がします。
このやり方が、直接的に有効なのは、気持ちが逸れるのを抑える時や、難しいことに取り組む気持ちを持ちにくい場合などですが、これらの気持ちがコントロールできることによって、レッスン中にふてくされたり、涙が止まらなくなってしまったり…という感情の波も、起き難くなるようにも思います。 この辺り、まだ、観察中だったりするので、断言はできませんが…。
ただし、このやり方は、音楽が好きで、ピアノが上手になりたいと思っている生徒さんに限られるようにも思います。 音楽が好きでもなく、ピアノが上手になりたいと思ってもいない生徒さんにとっては、レッスン時間に、あれこれ指示を出されること自体が受け入れがたいことかも知れませんので…。 そういった場合には、また、別のやり方があるのでしょうね。
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