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2006年02月14日(火) ソナチネって…

ピアノを教え始めた頃から、いわゆるソナチネアルバムに載っているようなソナチネというのは、私にとって1つの大きな謎でした。
自分が勉強していた時には、何も考えずに弾いていて、いざ教えるとなったら、なんだか教えにくい…。
お手本を弾いても、それが生徒さんの演奏になかなか反映されないし、そうこうしているうちに、生徒さんのやる気が下降気味になってしまったりして、どうして良いのかわからなかったことも、何度もありました。
分析の勉強をして、全ての曲を和声分析したり、ああでもないこうでもないと悩んでみて、少しずつ、レッスンでの手ごたえは感じていたけれど、でも、ソナチネの美意識のようなものが自分の中でぼやけていて、レッスンでの指導もなかなか踏み込んだものになりにくいように感じていました。

音楽史的に見ると、ソナチネは小規模なソナタ、ハイドンやモーツァルトなどが活躍した古典音楽…ということになるのですが、これだけでは、ピアノのレッスンでソナチネを勉強する意味がわかりません。
もう、タイトルにソナチネ…と書いてある本なら何でも読みました。

そうして勉強した駆け出しの頃の気持ちは、自分自身の音楽についての問題が大きくなってきて、しばらく忘れていたのですが、最近、その頃の疑問が、大げさな言い方をすると、一気に氷解しました。

ソナチネを勉強することで、生徒さんは、音楽のテンポ感や、基本的な和音進行、転調、そして、どのように楽譜を音楽にしていくか…という基本的なことを身につけていくのですね。
それによって、様々な個性的な要素を持ち、演奏時間が長い曲を弾くための基準が、生徒さん自身の感覚として定着し、いろいろなジャンルの、いろいろなタイプを演奏することができるようになるのです。

つまり、よく言われる『音楽を楽しみたい』という希望をかなえるためには、ソナチネアルバムまでをきちんとやる必要があるのですね。

私が、駆け出しの頃に感じていた教えにくさは、このような感覚に目を向けずに、とにかく曲を弾けるようにさせなくては…と考えていた、私自身の問題だったのかも知れません。


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