milukuの日記

2005年03月26日(土) ガンダムSEED最終話 (今度はちゃんとした感想です)

まず、4クール目。ここが、本当に(特にラスト6話か7話からいっきに画質があがったことからもうかがえますが)サンライズというか、制作チームのやりたかったことなんだってのがわかりました。

それまでから、作品の調子ががらっとかわったから。まだ、みてない人や、みようかかんがえてるかかはここからしたはよまない方が良いです。(わたしが以前それで、ネタばれみちゃって失敗したから/汗)




















2002年放映ということもあって、911があった後なので、けっこう周りの風潮は厳しかったみたいです。自粛まではいかなくとも、描写はあまりリアルにかかずにいくんじゃないかといううわさがあったみたいですが、実際みてみたら、それどころか、人が死ぬ場面はすごいリアルでした。とくに主要キャラが死ぬシーンは機体の爆発ですませてなくて、ちゃんと描かれてました。

さすが、「ガンダム」力を感じました。


そして、ラストの3話。もう、クルーゼの台詞が痛い。痛い。人より、常に優位にたち、その実をもぎとる。それが人間の業だよといってましたが、これ日本のこといってる(少なくとも先進諸国を含め)んだなっていうのが伝わって本当に痛い。
核もそうですが、本当に日本の子どもたちに対して言っているのがばんばん伝わってきました。

戦争のことを話すときりがないので、やめますが、今回の「ガンダムSEED」で一番の重要ポイントでこの作品がいかに社会的に価値があるのかを示したテーマが「遺伝子操作」(「人工授精」「人間クローン」)の問題でした。

これは、これからわたしたちにかかわってくるリアルな問題です。もし、あと10年後にこれが作られてたら、放映禁止になってたかもしれません。それを考えると、今の時代によくぞ作ってくれた。

そして、それがよくある設定にとどまらないのが、キャラクターの心情がとてもリアルに描かれていた点。そこが、最大のポイントです。そして、それがこちらにきちんと伝わってくるように書かれていた脚本かいた人の力ですね。

しかし、キラ(主人公)を人工子宮の唯一の成功例コーディネイターにしてくるとはおもいませんでした。まったく、まあ、かがりと兄弟という時点で何かあるとは思ってましたがここまで書いてくるとは思っていませんでした。
友達がまじ泣きしたとゆうのも、わかりました。(と、いうかわたしも涙ぼろぼろでした。)



その時代の世の中の問題は常に何かによって説明されてきました。
むかしはそれが、あらぶる神であったり、狐であったりしたわけです。
一昔まえまでは、漫画やゲームが。
最近では、子どもがおかしなことをすれば、インターネットや携帯で説明されてきました。

だけど、それが今後、遺伝子というもので説明がついてしまうわけです。
この子がおこりっぽいのは、この遺伝子をもっているから。
この子の髪や目が黒いのは、この遺伝子をもっているから。(SEEDにも例がでてきていましたが。)

この子が、おかしな行動をするのは、この遺伝子をもっているからだ。

なら、この遺伝子をもっているものは、みなおかしな行動をするのだと。

これは、ヒットラーの優性思想にすごいちかづいてしまう、とても危険な思想であり、しかし、それを実際に科学で証明できてしまう、とても危険なものだと思っています。

今は、精神医学もこころの問題から脳の問題へ変わってきているそうです。この反応がでれば、こう感じる。このホルモンがこうさせる。みたいな。
だから、薬ができる。こころの問題も薬で解決できてしまう。楽になれる。

だけど、それはやはり体だけの問題でまた、心身二元論的視点からいえば、やはりおかしい。風邪と一緒に症状だけ抑えても、根っこが治らないと、結局のところは何もかわらないとおもうのです。

今は、ものすごい勢いで世界が進んでます。日本もその進み具合はかなり早い国のひとつでしょう。


このSEEDはとても近い未来の出来事かもしれません。(戦争とかプラントとかじゃなくて、遺伝子操作がね)
さらに、それが合法化されて、医療化されれば、この作品は放映されなかったかもしれません。そういう団体から圧力がかかって。

よく、この時代に、問題提起してくれたなと感じます。
そういった意味で、この作品は本当に名作ですよ。

そして、さらにすごいのが、それを「ガンダム」でやった事と、あくまで面白く(語弊がありますが、つまりそのままこれはいけないとか、あれはいけないとか直接的に描くのではなく、キャラクターや話でどんどん、視聴者をひきつけていることです。戦争ものを描けば、残虐なシーンをどんどん描いてだからいけないんだという手法もあります。だけど、それじゃ見てるほうもつらいし、戦争の残虐性を強調すれば簡単なんですが、そうはしてないところ。つまりテーマ以外の部分でも、ガンダムや戦闘シーンで男の子をひきつけて、美形キャラで女の子をひきつけて、ストーリーでぐんぐんひっぱってきて、描いていること。これが、いけないとかはだれでも描けますが、じゃあなぜいけないのかを描いている事が、そして、なぜそういう行動を彼らがとるのか、それを視聴者に考えさせてるところが)描いているところがすごいなと思います。


SEED=種ですが、すごいいろんな意味がとれるいい題名でありテーマだと思います。

あと、ラストのシーンで、漂うキラにアスランが駆け寄っていくシーン(あと、少しで届くという)がありますが、あれにも本当に感謝です。

すごい視聴者に気をつかっていてくれてます。(あれは、構成の両澤さんのアイデアだと思うんですが、いかがでしょうか。だって、普通のアニメだったらあそこはラクスがくるシーンだと思うから)



とにかく、サンライズと毎日放送に乾杯!!




近年まれにみる、アニメの傑作だと思います。そういう企みが。
やはり、描くのは勇気がいると思いますから。


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