「身毒丸」

「身毒丸(しんとくまる)」
今日は番外編。
舞台に行ってきました。
もう、ずっと前から見たかった舞台です。
武田真治さんがやったときからすごい気になってたんですよ。
脚本は寺山修二だし。

作:寺山修司/岸田理生
演 出:蜷川幸雄

キャスト
身毒丸:藤原竜也 
撫 子:白石加代子  
父 親:三谷 昇
小間使い:蘭 妖子
仮面売り:石井愃一

ストーリー
母を亡くした身毒丸は母の影を追い求めていた。しかし父は世間体のために女を買い「母」とすると言い出す。どれがいい、ときかれた身毒は最初はかたくなに拒否をするが、一人の女に目を奪われる。父はその女・撫子を継母と決めてしまうのだ。撫子にはつれ子が居り、一見して理想的な家族となるのだが、身毒丸は継母を断固として受け入れない。

感想
もう、かなりの勢いで好みです。
官能の世界。夢と現の交錯。思いのすれ違い。すべてがツボ。
演出もすばらしい。
台詞の言い回しも美しい。
短歌を読みあげることがあるのですが、それが本当に綺麗なのです。

身毒丸は惹かれた女が、父の妻となる。
さらに母の影を忘れられない彼は、継母である女を拒絶する。
しかし彼女を気にせずにいられない。

女は、やっと手に入れた家庭で夫には「世間体としての妻」を求められていて、女としては必要とされていない。
そんな折大人になりかけている義理の息子の体を目にしてしまう。

こんな二人の関係が歪まないはずはない。
男と女として惹かれあっているのに、母と子の関係である二人。
もどかしさから少しずつ狂っていく二人の様は圧巻。
そして時折見られる二人の感情の現れ(折檻シーンなど)は
もうこっちが赤面してしまうほど、官能的です。
別に直接的なシーンがあるわけじゃないのに。

憎しみから生まれる愛情はなんてねじくれているんだろう。
最後のシーンを見て涙が出た。

藤原竜也くん、実はあんまり好きじゃなかったんです。
でもこの舞台を見て考えが一転。
まさに身毒丸になりきっていました。
狂った演技が最高でした(このシーンが一番好き)。
これからの彼の舞台も見てみたいです。

白石加代子さんは期待どおりすばらしい。
遊女として、妻として、母として、女としての撫子がそこにいました。

本当に見てよかった。
友達と見終わってから相当話し込んでしまった。

ファイナルといわれているので、もう上演は最後?
もし良かったら見てみて欲しいです。ビデオでも!

そしてこの舞台を見て、
蜷川さんの演出で「ドグラ・マグラ」を舞台化して欲しいと思いました。






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2002年03月27日(水)

日々ノオト / kica

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