森岡万貴 徒然記 (黒いブログ)
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| 2002年08月27日(火) |
徒然なるワシントンDC紀行(1) 珍道中の始まり 〜感動?巨編(覚悟してお読み下さい) |
じゅ、15分だけ寝よう、、、 こう思ったのが間違いだった。目を閉じた瞬間から自分の中では0.5秒。でも目を開けたら出発予定時間の5分前だった。 「・・・げ。(泣)」 やっちゃった。目覚まし、完璧に止めてある。1ミリも聞こえんかった(涙)。 ぇ〜一般的に女の子(誰が?)というのはですね、起きてから出掛けるまでに色々やんなきゃいけない事があって、5分じゃ全然足りないのです。 ましてや今日から半月家を空けるという事で、1時間前に起きて、冷蔵庫のヤバそうな物どもを胃の中に処分し、残りのパッキングをして、苔に水をザブザブやって、顔を洗って日焼け止めを塗って戸締りをして、、、。という構想だったので、パッキング自体も全部終わっていなかったのだ。 飛魚のように飛び起き、脳の中の分別蔵に「何が何でもはずせない朝の行事」とそうでない事を分けながら、とりあえずスーツケースの周辺に散らばっている物を片っ端から放り込んで鍵をかけて縛る。 3分。 あと2分しかない〜ッッ(泣)、 化粧をしない森岡万貴ですが、日焼け止め、これだけは何が何でもはずせない。 1分。 戸締り。これはやらなきゃイカンでしょ、いくらなんでも。 竜巻のように家を飛び出して、スーツケースにまたがって坂を下り、電車に飛び乗った。 「あ〜〜帰ってきた時、冷蔵庫のヤバそうな物どもがどうなっているか、、想像したくない。。。」 ____________________________ 成田空港。 新国立劇場制作部K氏が待つ北ウィング。 はじめ頂いていたスケジュールでは渡米は29日だったのですが、ニューヨークで泣いたリース楽器トラブル(cf;07/07/’02 徒然なるN.Y.紀行(3))が再び起こらないよう、キーボード、ドラム、パーカッションの3名のみが、役者さんや他のオーケストラメンバーよりも2日早くワシントン入りして楽器チェックをすることになったのです。 で、ワシントンまで「引率者は、いまへん。」(自力で辿り着いてね♪) と、言い渡されて航空券を頂いたのですが、今回はシカゴで乗り継ぎのフライトだし、あまりにも心許無い〜(涙)と訴えたところ、急遽昨日、制作部K氏が同行してくださることになり、4名での旅と相成ったのでございますが、この行きのフライトが、忘れられない珍道中になるのでございます。 成田空港でチェックインするなりカーテンの奥に連れて行かれ、スーツケースを開けろとの指示。 「え”。今?」 そうか、9・11から間もなく1年、チェックが厳しいのは理解できる。 しかし何しろさっき放り込んできた物どもが、この箱の中で美しく並んでくれているとは思えない。元通りスーツケースが閉まらないかも知れない。 恐る恐るスーツケースを開け、一番上に下着が生で出てこなかったことに感謝しながら荷物チェックを済ませた。 フライトまでは1時間ほどある。いったん解散。 出国審査までに、食べ損ねた朝ご飯を調達すべく空港内を彷徨って、、、 いる時に落っことしたらしい!腕時計!!! 気付いたのは出国審査ゲートに移動するため、集合した時。 ニューヨークツアーの前に池袋の電気屋さんで買って、大活躍したオレンジ色の、あのお気に入りの腕時計! 探し回っても見つからなくて、時間もないし、、、きっと誰かに拾われだんだ。。。とあきらめたんですが、、さすがにこれにはショック!(涙) 、、、ふと、免税店をみると、!!、失くした時計と全く同じ時計が売られているではありませんか。 普段は携帯電話があるから腕時計をしない森岡万貴ですが、アメリカではあの腕時計は必需!ないと仕事が出来ない。 結局、泣く泣く免税店で同じ時計を買って機内に乗り込んだときには、既にぐったりしていました。 「なんか今回、波乱万丈かも。。」 ユナイテッド航空884便 成田空港14:20発。 機内で映画「Ice Age」と「スパイダーマン」を見て、仮眠。 日付変更線を越える。 シカゴ・オヘア空港着は、同日11:40分。そして運命の時はやってきた。 乗り継ぎである。 なんでそれが運命の時なのかと言うと、 ユナイテッド空港614便 シカゴ・オヘア空港発13:00 13:00発!? 普通乗り継ぎには少なくとも2時間は見るって何かの本で読んだ気が。。。 80分間で、アメリカ入国審査にパスして荷物を受け取って、国内線のカウンターに荷物を預け直して、シャトルトレインに乗って空港の一番奥のターミナルまで移動してボディチェックを受けて、、、 ふ、、不安だ。 現に、昨日同じフライトスケジュールで一足先に飛び立った音響、照明etc..スタッフ陣18名のうち、めでたくこの乗り継ぎに成功したのは6名のみ。残りの12名は時間内に関門を突破できず、なんとシカゴで4時間待たされたらしい!と制作部から脅されていたので、機体がシカゴ・オヘア空港着陸態勢に入った頃から「よぉ〜〜し、やってやる!!」相当気合を入れて準備しておったのです。 着陸!いざ、出国審査カウンターへGO!、GO、、、ご、、 ・・・ムムム、、で、出られない。 運の悪いことに一番後ろの席だったので、前の乗客で詰まっちゃっててなかなか列が動かない。 イライラ。はやる気持ちを全顔で表現してみても列はビクともせず、既に10分経過。こんなとこで時間を食うとは、、 やっとこさ機内から脱出して大股で入国審査ゲートへ。様々な人種の人々が、既にずらっと並んでいる。「あちゃ〜、遅かったか。」 ちょっとでも早く済むよう、4人バラバラのカウンターに並んで順番を待つ。私は太った婆ちゃん審査官の列に。 さて、ここですべてが決まった。といって良い。 私の列だけ、全然動かない。婆ちゃん審査官と東南アジア系のカップルがなにやらもめている。 他の列はそれぞれ少しずつ着実に前進しているのに、この列のはるか前方では婆ちゃん審査官とカップルが流れを完全に関止めている。 イライラ。婆ちゃんは、コンピューターを睨みながら眉を顰め、何やら難しそうに首を横に振っている。 ようやくカップルが関門突破した。と思ったら、次の中国系ギャルがまた婆ちゃんともめ始めた。機内であらかじめ書いておくべき出入国カードを書いてなかったらしく、婆ちゃんに1つ1つ教わりながらカウンターで作成している様子。 ノロノロ。「・・・くぅぅーー、書いとけよ〜(涙)」 その間に他の3人はもうカウンターに近づいて、パスポートを出して質疑応答の練習(英語で滞在先や理由なんかを答える)を始めているのに、私だけ5センチしか進んでいない。 「あっちの列に並びなおした方がいいかも。」と相当迷ったけど、振り返ると私の後ろにも既に長蛇の列が出来ていて、1度抜けると絶対戻れない。「ちょっとスイヤセン。」と江戸っ子風に仲間の後ろに入れてもらおうか、とも思ったんですが、でも“割り込み”はさすがに万国共通ヒンシュク項目だろう。揉め事になってしょっぴかれでもしたら、それこそやっかいだ。 我慢して並び続けているうちに、K氏がトップでカウンターに辿り着いた。 我が列の中国系ギャルがカウンターの隅で熱心にカードに記入している間に、次の友達らしきギャルが婆ちゃんの前に進んだ。またしても出入国カード未記入で、同じ作業を1から始めるらしい。 「いっ、、一緒にやっといてよォォォ〜〜(涙)」 婆ちゃんは、相変わらずコンピューターを横目で睨みながら気難しげに2人の対応をしている。明らかに自分の列だけ動きが鈍いのに、そんなコトにはまったく気にも止めていない様子。 イライラ×100。列の同士達の中には、全身でイライラを表現する人が増え始めた。様々な国・地域の人々がこんなにイライラ感をピーアールしているというのに、婆ちゃんは相変わらず自分のペースを貫いている。 さすが、マイペース、アメリカン!! いや、感心している場合ではない、もはや30分が過ぎようとしている。他の3人は既に入国審査を済ませ、荷物受け取りも済ませ、交代で私を待っていてくれている。 「すみませーーんっっ(泣)」申し訳ない気持ちでいっぱい。やっぱりあの時、別の列に並びなおすべきだった。 永遠にも感じられる時間が過ぎ、やっとやっと、私の番になった。この間、森岡万貴がどれほどイライラ静電気を放出したかはご想像にお任せしよう。 必要書類を婆ちゃんに手渡す。コンピューターを睨みながら、パスポートに印を押すだけの婆ちゃん。 「あれ?質疑応答は、、?」 結局1言も話さないまま、審査が終わった。 パスポートを奪うようにして受け取って、バゲージクレームへダッシュしかけたその時、ふと婆ちゃんが睨んでいるコンピューターに目をやると、、、(驚愕) ※電源入っとらんがな※ ば、、婆ちゃん、、、(号泣) 壊れとったんかぃ、、、。 腰が抜けそうになりました。※実話です。 この時点で12:40分。フライトまであと20分。 あと20分ンン〜〜〜!? 風のように機内預け荷物をひったくり、13:00便分は既に締め切られている国内線カウンターで変な日本語英語をまくしたてて荷物を預けなおし、シャトルトレインに飛び乗り、飛び降りた国内線ターミナル。 ・・ひょ、表示が分からん(汗) なんだかめちゃくちゃ分かりにくい! 凄い形相の汗だくのエイジャン・ツーリストを見かねて、ボランティアらしき案内官が近道を示してくれた。 多分跨いじゃいけないロープを跨いで、機内持ち込み荷物チェックカウンターに走りこんだ。離陸まであと10分、なんとか間に合うか!? 妙にルンルンしているアメリカンギャル職員が、私のリュックをX線に通しながら、「いやん、あなたったら、so cuteねェ♪楽しい旅を〜♪」なんて暇つぶしに喋りかけてくるのを引きつったスマイルで交わしながら、ゲートを探す。 ・・ひょ、表示が分からん(汗) ※ほんとに、分っかりにくい空港でした ワシントン行き614便、614便、、、無い〜〜(涙) 明らかに暇を持て余している黒人少年職員に「ゲートはどこォォっ」と聞くと、「知らん。」とあっさり言われた。 てっ、てっめぇぇぇ、仕事だろぉがぁぁぁぁーーーーー あきらめてインフォメーションカウンターまで走り、ゲートナンバーをつきとめて戻ると、なんと不運にもK氏のリュックがX線にひっかっかたらしく、「全部出して見せて。」と、カウンターがバサー状態になっている。 職員が単行本を手にとって、パラパラめくり、「これはなんですか?」。 ・・・・・・・・・・。 アホカァァァァ、本に決まっとるやろーがぁっぁーーーーー こういった理解し難いやりとりが数回続き、ようやく解放された時には既に、12:57。フライト3分前。 モノも言わずに一目散にダッシュ!! また不運にも、目指すゲートは空港の一番端だった。 広いシカゴ・オヘア空港をわき目も振らずに走って走って走りまくる。(相当目立ってました。) 300メートル全力疾走、汗だくで息も絶え絶えにゲートにタッチした時には、 13:03分。カァ〜カァ〜カァ〜(カラスの鳴き声) カウンターのおばちゃんが「ご愁傷様です。」と言わんばかりに静かに首を横に振った。 崩れ落ちる4人。お、、惜しかった、、、 実際は惜しくないんですけどね、まだこの後、丁寧なボディチェックを受けねばならず、最低10分前にはこのゲートに辿り着いていないといけなかったらしい。 はじめから無理があるタイム・スケジュールだったんだけど、悔しいし乗り遅れるとややこしそうだから絶対クリアしてやるぅぅ〜、と意気込んでいたので、失意で脱力。 それにしても、ここの空港職員ったら、あの婆ちゃん審査官を筆頭に、、、すごすぎる。 そして表示が分かりにくすぎる。初めて訪れた外国人にはちょっとキツイ。 時間がある時だったら笑えるかも知れんけど、マジでまいった。 ともかく、婆ちゃんのコンピューターさえ壊れていなかったら、間に合っていたかも知れない。(どうだろう) 幸いにも1時間後のワシントン行きの便に変更でき、しばしブレイク。 私がスターバックスでアイスラテを飲んでいる間に、K氏達はタバコを吸いに行った。 しかしここはアメリカ。空港で喫煙所を探すのは非常に難しい。 目を盗んでその辺で吸っているところを、校長先生みたいな太った女性職員に見つかって怒鳴られたらしく、シュンとして帰ってきた。 時間に余裕を持って変更した便に乗り込むため、早めにボディチェックを受ける。 「靴も脱いで。」いささかウンザリしていたが、時期が時期だしおとなしく従ってチェックを済ませ、機内に乗り込むと、なんだかしら異常に暑い。 離陸まであと15分ほど。したたる汗。 斜め前のハンサムクールなビジネスマンがたまらずジャケットを脱いだ。 スチュワーデスが困り顔で、雑誌をウチワ代わりにバタバタ扇いでいる。 「飛べば冷房が入るのかな?」それにしても暑いぜ、こりゃ。 14:00が過ぎた。エンジン音はするけど離陸する気配がない。 あまりにも疲れていたので怒る気も起きず、ぐったりして待っていると、機内アナウンスが。 「エアコンの故障のため、本機はフライトをキャンセルします。乗客の皆様は別の便にお乗換えください。」 ここまでくると、シカゴ・オヘアの神が暇で、我々で遊んでいるとしか思えない。 仕方が無いので次の14:00発の便に乗り換える手続きをしようとさっきのカウンターに戻ると、既に長蛇の列。 あらかじめ予約していた客と、変更待ちの客で、カウンターはオーバーヒート状態。 対応のためやってきた臨時職員は、なんとさっきタバコ事件で怒鳴られた校長先生。・・・運悪ぅ〜・・・ 生命力節電のため、抵抗せずおとなしく列の最後に並ぶ。 ふと見ると、あの入国審査婆ちゃんの列に並んでいた、ヨーロッパ系の女性の姿が。上品なおばさまなのに、この人も凄いイライラしてるな、とシンパシーを感じていたら、同じ乗り継ぎスケジュールだったのね。 嗚呼無情。by じゃんばるじゃん。がんばるじゃん。やればできるじゃん。 はい、すみません。 で、結局、だめだったのです。14:00の便。ハンサムクールなビジネスマンまでであえ無く満席。問答無用です。 だ、、脱力。 永久にこの空港から出られないんじゃないかとさえ思いました。 やっとこさ15:00発の便を取って、休憩所でひたすら待つ。 寝る。 やっと搭乗手続きが始まり、憔悴しきってフラフラ並ぶと、他の客はスムーズに機内に誘導されているのに、 「はい、こっち来てぇ。」 と、なぜか我々だけ再びボディチェックに連行された。そんなに怪しく見えたのか!? 怒 さすがの森岡万貴も、この瞬間プチっとキレた。 「さっきもう済ませたし、くっ、靴まで脱いんだんすけどぉぉぉ(英語)」 と唾を飛ばしながらヤンキー風に抗議したけど、 「決まりだから。」 と、あっさりお縄。 に、、、二度と来るもんか、シカゴ、、 と悔し涙に袖を塗らしつつボディチェックを受け、クーラーのガンガン効いた機内に乗り込みました。 寝る。 15:44 ワシントンDCナショナル空港 着 のはずが、 17:44 遭難し漂流の末 なんとか辿り、、、着いた、、ぁ みたいな。 シカゴ13:00時発の便に乗って先に行ってしまったスーツケースが4つ、ポツネン、、とロビーの片隅で待っていました。 なんだかモノノアハレを感じた森岡万貴。 嗚呼無情。by じゃんばるじゃん。がんばるじゃん。よくやったじゃん。。。 出迎えてくださったのは、現地コーディネーターと通訳の方。連絡が付かなかったので、相当心配されていたようで、、、申し訳無かったです。 それにしてもあのシカゴ・オヘア空港でのドタバタ劇。とても1日で起きた出来事とは思えない珍道中でした。 ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港のタラップを降りた瞬間の心境。 Goooooooooooooooooooooooooooooooooooooooォォォォル!!!!!!!!!!!!(涙)(鼻水) この珍道中は後世に語り継がねばならん、と、万貴日記史上最長の感動巨編になってしまいました。 最後まで根気よく読んでくださった皆様、ありがとうございます。(お疲れ様でした。) 初日から波乱万丈、走りっぱなしのワシントンツアー。はてさて、この後どうなりますことやら。。。
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