森岡万貴 徒然記 (黒いブログ)
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| 2002年09月01日(日) |
徒然なるワシントンDC紀行(6) ホロコースト博物館 |
・・・ 8月29日(木)午後 ・・・
Foggy Bottom Stationから地下鉄に乗って、向かった先はスミソニアンの、
【ホロコースト記念博物館】http://www.ushmm.org
時は夕刻。迷ったんですが、思い切って行って来ました。ここは一人で行くのが良いような気がしてたし。 私はこの日からしばらく、肉が食べれなくなりました。 これから行かれる方は、体調の悪い時は避けた方がいいと思います。
“ホロコースト” ナチス・ドイツによるユダヤ人の大虐殺
人類史上に類を見ない、この凄惨な出来事を振り返り、戦争が作り出す人間の狂気を伝える、スミソニアンでも異色の博物館。
はっきり言って森岡万貴は、こういうの得意ではない。むしろ全然だめ。 スピルバーグ監督のあの映画、「シンドラーのリスト」を見て、数日間うなされて夜眠れなかった経験がある。 でも、スミソニアンの中で、ここだけは行っておかなきゃ、と思っていました。
エレベーターを降りると、いきなり目に飛び込んでくる巨大な白黒写真。 ‘おびただしい数の焼け焦げた死体’の。 ーーーー絶句。
ここからは多分、私の普段の神経じゃ耐えられないので、自分の中のスイッチを「だただた冷静に目の前の物を受け止めるモード」に切り替えた。そうしないと、気絶するか発狂する。
薄暗く静かな館内に、整然と並べられる展示品の数々、、、
収容所内部の悲惨な生活をとらえた当時のフィルム、直視に耐えない残酷な映像。 壁に飾られた無数の犠牲者の写真。名前でなく番号を焼き印された腕。 ユダヤ人を収容所に輸送するために使った‘貨物’列車。 身体的・精神的障害児の解剖、ユダヤ人少年少女の生体実験の実写や拘束器具。 ガス室の模型。まだ‘使える’ユダヤ人に、大量処刑後の死体を片付けさせたり、死体から集めた歯や髪で軍需品を作らせる様子。
訪れた人が、ひときわシビアな表情で覗き込んでいるブースがあった。それは高い位置に設置されていて、囲いまで付いているテレビモニターだった。子供には見せてはいけない、という配慮のようだ。
映っていたのは、あまりにショッキングな映像。
軍服を着て銃をかまえた人が、裸の人に穴に掘らせ、そこに立たせる。そして上から撃つ。裸の人はパタッと倒れる。その死体の上に、次の裸の人が走り込んで来る。上から撃つ。パタッと倒れる。 撃つ。倒れる。撃つ。倒れる。永遠に繰り返されるこの作業。女性も子供も裸で、次々と積み重なっていく。
生体実験用に切り取られた、無数の手。手ばっかり。そして、足。そして無数の胴体。人間のパーツの集合体。 その前で気味悪く笑う、ナチスの医師。
ガリガリに痩せた女性の死体を引きずる軍人。首にヒョイっと輪っかを引っかけて、ズルズルズル・・・と引きずって行く。マネキン人形を引きずるように、だたズルズルズル、ズルズルズル・・・永遠に繰り返される作業。
これらのフィルムを見ていて印象的だったのは、淡々と作業を進める兵士達がみな無表情で、とっくに「感情」と言うものを失ってしまったかのようだったこと。
私と同じ年頃の女性が、裸で銃殺の順番を待っている映像。目の前で処刑が行われているのをぼんやり見つめるその目には、もはや恐怖の色さえ消えて、凪いでいる。「これで悪夢が終わる。」と言っているように見えた。
「悪夢」「狂気」
の末の、
「何も感じない世界」
もう人間じゃなくなってる。
これがホラー映画じゃなくて、ついこのあいだ起こった現実の出来事だとは、映像を見せられてもまだ、全部は消化できないでいますが、
目をそらさないで見る。
ことが出来ただけでも、、、。
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