青春の思ひで。
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高1の夏に書いた読書感想文が県で入賞になりました。
いい本に巡り合って、久々に感動して、自分であのときの最高のものが書けたと、今でも誇りを持って言える。
今、読み返してもたぶんあまり恥ずかしくない(……と、思う)。
表彰式の席で、審査員に「君は文章は巧いけれど、テクニックだけで書いている節がある」と言われました。
……自分でも認めます。小手先の文章だと。あれは「感想文」というよりはどちらかと言うと「解説文」だ。文庫の最後に載せるのにぴったりだ。
でも、あれはあれで良いんです。あたしはあのときの感動をちゃんと焼き写したから(たとえ、それが自分にしかわからなくても)。
だけどね、あたしは「入賞」で。 「大賞」の方がいらっしゃったんですね。
高3の女の子でした。 名前も良く知られてない田舎の県立高校の。 (いやな書き方かも知れないけれど、あたしは母校出身であることにそれなりの誇りがあるのですよ)
確か彼女が読んだ本は有島武郎の「小さき者へ」でした。 彼女の感想文は新聞掲載されたので読みました。
彼女、母子家庭のようでした。 女手一つで自分と兄を育ててくれた母に感謝している。 はやく、自分が母に楽をさせてやりたい。
そんなことが「小さき者へ」と照らし合わせて書かれていました。
素晴らしい文章でした。
だけど。 だけど。
ずるいよ、って思いました。
あたしは両親共に健在で、仲も良く、溺れそうになるほどの愛情を受けて育ってきました。 健康体で、大きな挫折も味わうことなく。 せいぜい昔、いじめられたのがトラウマな程度で。
ずるいよ。
だって、どんなに技術があってもあたしには書けないもの。
あたしは片親の苦しみは知らない。 あたしは恵まれて幸福に育ってきた。 恵まれすぎて、幸福すぎて、不幸なくらいに。
彼女にあってあたしになかったもの。 それは「経験」
でも、どうしようもないじゃない。 彼女のような「経験」は持とうとして持てるものでなく。
経験のなさ。 どうにもできないよ。
ずるいよ。
……と、今でも思うけれど、ほんとうにどうしようもないから開き直るしかなく。
自分の経験の範囲内で、自分に書けるものを書いていくしかないのです。
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