青春の思ひで。
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正門前の桜並木から、あの匂いがする。 春の夜の匂い。桜の香り。私にとってそれだけではなく。 あの春の夜の匂いなのだ。 あの匂いがこのからだ中に入って来て、いっぱいになって、頭がおかしくなりそうだ。頭の中まで犯される。
これが春か。これは業か。
私の存在などに関係なく救われないあんたと、あんたの存在故に救われない私の、救われない者同士が慰め合うように傷付け合う春の、夜。
口走ってしまった言葉には、しきれない程の後悔をするけれど、起こってしまった事実に対しては後悔をしない。否、できない。後悔できないのだ。
何が起こらなくとも、この2年の変化が一切なかったとしても、これは私の業なのだ。私が抱えていた大切な大切なものが、形を変えて現れただけの、私の業なのだ。 それでも、他人と切り結んだだけより深い業となったのだけれど。
あんたが、私とは全く別のところで一生救われなさを、この業を、抱えて生きていくように、それが故に、私はこれを、一生救われぬまま、業として抱えていかねばならないのだ。
嗚呼、救いなんてないとも。わかっている、ほんとは、それくらい。 救いなど、ない。 解決などできようはずもない。 引きずるなんて、そう、一生だ。一生。今、ここから見える範囲の一生だ。
救えなかった、理解できなかった罪悪感、ただそれだけだから。何も気に病むことなどない。 ……病まずにいられようか。この病。
私が愚かだった。何よりも。 お願いだ。お願いだから。 私は、あんたが私に言ったことを覚えてはいないのだ。お願いだ。 麻薬のようなアルコールの力など借りずに、お願いだ。 わかっていても、少しでも、私は、救われたいんだ。助けて。助けて。助けてよ。 少しも、消せないんだ。消せるわけなんかない。それでもすがらずにいられない。
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