酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2002年09月03日(火) |
ねじまき鳥クロニクル |
神戸の美月は、古〜い友人のひとりで、高校一年生に出会い、今までずーっと仲良く (かどうかは疑問だが) やってきています。本や映画の嗜好がものすごく合うので話していて楽しいのv 違うのは男の趣味だけ(爆)。この村上春樹さんは美月がとても好きな作家さん。私は村上春樹さんは一度断念した過去を持っています。 『羊をめぐる冒険』 の世界に入れなかった。社会現象と言われた 『ノルウェイの森』 は一応読めたものの、あまりにも暗くて心がぎしぎしきしんで好きになれなかった。でもそれは私がまだとってもとぉ〜っても!若かった頃のお話(笑)
年を重ねたある日私は気づいたのです。美月の好きな村上春樹。それならやっぱり私は好きなのではないだろうか? と。そこで 『羊をめぐる冒険』 に何年かぶりに再チャレンジ! はまりました。見事に。若い頃の私がついていけなかったのは、きっと登場人物の不可解さだったのだろうと思います。だって鼠なんだもん(笑) そこで村上春樹に開眼した私はどんどこどんどんそれいけやれいけとばかりに彼の作品制覇していったのです。個人的には今でも 『ノルウェイの森』 は苦手。あの自殺のシーンが心に痛すぎて。森が怖いよー。
さてさて “クルクル”! 美月と私の合言葉。 『ねじまき鳥クロニクル』 をふたりで “クルクル” と簡単に読んでいたのです。私が持っているのは文庫版で平成9年刊行、と言うことは単行本で読んだのはもっと前になろうから・・・なんとクルクルから5年以上前って計算になります。(美月、お互い年取っちゃったねぇ、とほほ)
クルクルは、第一部 「泥棒かささぎ編」・ 第二部 「予言する鳥編」・ 第三部 「鳥刺し男編」の3冊で構成されています。たぶん単行本を誰もが見たことあると思いますが、でかい! 太い!! 単行本で読んだ時に重くて手が痛かったことを思い出します。なのに文庫化するとこんなに小さく纏められるものなのね。不思議。
クルクルも不思議なお話です。たくさーん変な人が出てきます。このたくさんの変な人たちが妙に人間くさくて好きなのです。主人公オカダトオルをねじまき鳥さんと呼び慕う笠原メイ。 このふたりが鬘メーカーのアルバイトで、道いく人の頭の薄さを松・竹・梅の三段階でランク分けするシーンは笑えるし、世の男性諸氏の哀愁を感じさせます。 突拍子もないファッションで登場する美貌の加納マルタ・クレタ姉妹。あ、かのう姉妹だ。アハハ。 (クレタの産んだ子供がコルシカ! 笑) むっちゃ謎の姉妹です。失踪してしまうねじまき鳥の奥さんのクミコさん。 (メイと同じくらい好きな女性ですv) 耳の遠い預言者本田さん。不思議なナツメグと素敵なシナモンv そしてなにより敵のラスボスたる不気味で残酷なワタヤノボル。他にかなり残酷な人なんかも出てきます。戦争での回想シーンとかは身の毛もよだつところがありましたね。生きながら皮を剥ぐとか。
失踪したクミコさんを探すためにねじまき鳥さんはさまざまな目に遭遇し、頑張りぬきますが。 あとは本を読んでいない方のために書きません。どうぞ読んでみてくださいね。 クミコさんが、ねじまき鳥さんに長い長い告白をする時に 「それでは本当の私とはいったいどの私なのでしょう」 と言います。この言葉深いなぁーと今でも心に残っています。 みなさんは本当の自分ってわかりますか?
最後にキュートな笠原メイが、ねじまき鳥さんに言った言葉をみなさまにプレゼントv 「ねじまき鳥さん、何かがあったら大きな声で私を呼びなさいね。 私と、それからアヒルのヒトたちをね」 私も大好きな仲間たちに向かって、 「何かがあったら大きな声で私を呼びなさいね。私と、それから酔っ払いの仲間たちをね」
『ねじまき鳥クロニクル』 1994年10月 村上春樹 新潮社文庫
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