酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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現代の語り部、そんな代名詞を持ってしまう宮部みゆきの作品で一番好きなものはなにですか? と私からお聞きしたいです。是非お教えくださいませ。ありとあらゆる世界を描き、そしてまったくはずさない女、宮部みゆき。もう信じられなぁーいv なんてギャルふうに逃げてしまいたいくらいです。
うーん、『火車』、 『レベル7』、 『パーフェクトブルー』、 最近では『模倣犯』。 好きな作品をあげろと言われれば、いくらでも出てしまう。あ、蒲生邸もあったわ・・・。たまにこういう万人に受けてしまう類稀な天才が出現しますよね。私は、物語を紡ぎだすことのできる人って神様に愛された人だなぁって思うのです。まぁ、宮部みゆきの場合は、愛されたどころかご自身が‘神’なのかもしれません。
抜粋: 我々は身体のうちに、それぞれ一頭の龍を飼っている。 底知れない力を秘めた、不可思議な形の、眠れる龍を。 そしてひとたびその龍が起きだしたなら、できることはもう祈ることだけしかできない。 どうか、どうか、正しく生き延びることができますように。 この身に恐ろしい災いのふりかかることがありませんように。 私の内なる龍が、どうか私をお守りくださいますようにー ただ、それだけを。
今まで私が酩酊本をご紹介してきて、お気づきの方が多いかと思いますが、私は超能力モノも大好きです。映画でヒットしてテレビドラマ化された 「サトラレ」 も超能力の逆パターンですよね。偶然センシティブになった 「僕が世界を救う」 も超能力ものです。どちらもしっかり録画して見ています。その昔 「ナイトヘッド」 を見たり、読んだりしていた頃から、人間の不思議な力ってあながち想像の世界のものではないのかもしれないなぁ、とそんなふうにおもって生きてきている訳なのです。 そういうことで(どういうことよ)、この抜粋からおわかりのように、この宮部みゆきの 『龍は眠る』 は人間の内なる龍を開放した青年と、龍に振り回されて制御できない少年とその周囲の人たちの物語。事件が起こり、悲劇が起こります。悲しい別れもしなければなりません。この物語を読むたびにもしも特別な力を持った人がいたら、この物語の青年のようにひっそりと隠れて暮らしているのだろうと思います。そこにあるのはどれほどの孤独と苦しみでしょうか。
おそらく読まれた方も多いと思いますので、読まれて感じたことなど教えていただけると嬉しいです。もしもまだ未読であったなら、どうぞ読んでみてください。ちょっと頑張って生きてみようと思えるはずですわ。私はこの本何度読み返してパワーをいただいたかわからない。 大事な人生の一冊。
『龍は眠る』 1991年2月 宮部みゆき 出版芸術社
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