酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2002年09月14日(土) |
夏の庭 -The Friends- |
このページをはじめて、酔客Barにケロロ(高校時代からの友人)がやってきて、 『夏の庭』 をすすめてくれました。それに呼応して美月が、 『夏の庭』 いいよねぇ〜と。ふむ、これはもう読むしかあるまいと手にとりました。手に取ったら面白くて眠れなくなって、こんなことまでやってます(苦笑)。只今9月18日午前1時過ぎ。感動が薄れないうちにパソコンを立ち上げてしまう私。もう完璧病気かも〜。
つくづく童話や児童文学はあなどれないと思います。かつて本仲間で一気に盛り上がった梨木さんの 『りかさん』 、あれなんかもこれに匹敵する力を持っていました。この作品は1992年3月に刊行されています。その時のあとがきに、湯本さんは相米慎二さんに謝辞を述べられていますので、映画化は相米さんが監督をされたのかもしれませんね。(知らないので予想で書いてます) 世界各国で話題を呼び、児童文学協会新人賞などお取りになっているので、この物語を知らない、もしかすると私だけなのかもしれません(大汗っ) 去年、再出版されたご本を読みました(多少手を入れられたらしい)。
12歳の少年、木山・山下・河辺の3人が出逢ったひとりのおじいさん。出会ったきっかけは死んだ人間を見てみたいからという子供らしい残酷な好奇心からでした。そのターゲットにされたおじいさんが死にかけて見えていたと言うのにのに、みるみるうちに再生していくさまは微笑ましくも可笑しいです。ひと夏で少年たちが体験して得たものは、きっと彼らの一生涯で他のなにものにも替えられないものだったろうなぁと思います。おじいさんが少年たちから生きる力(意欲)を取り戻してもらったように、少年たちはおじいさんからさまざまなことを身を持って経験させてもらいます。生きる屍のようだったおじいさんが元気になり、荒れ放題だった家や庭にも生命力が蘇る。生きるということを謳歌したいと感じさせる物語ですね。この物語の映画、ビデオかなにか探してきて観なきゃいけない。絶対観たい。
たぶん、この世界には隠れているもの、見えないものがいっぱいあるんだろう。虹のように、ほんのちょっとしたことで姿を現してくれるものもあれば、長くてつらい道のりの果てに、やっと出会えるものもあるに違いない。ぼくが見つけるのを待っている何かが、今もどこかにひっそりと隠れているのだろうか。
おじいさんの庭に種蒔きをした時、ホースの水が作った小さな虹を見て、木山少年はそう感じます。 こういう感性を持った少年たちが大人になれば、きっと世界に戦争なんて起こらないだろうに・・・。
映画化までされていたご本ですので、読まれた方も多いかと思います。もしもまだ読んでいないならそれはとてもしあわせです。この本を最初に読めるあの感動を味わうことができるのですから。必読v
『夏の庭 −The Friends- 』 2001.5.31. 湯本香樹実 徳間書店
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