酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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乃南アサさんの作品では、女刑事音道貴子シリーズがお気に入りv 今出ているのは『凍える牙』(テレビ化では天海祐希が音道役を演りました)、『花散る頃の殺人』、『鎖』、『未練』の4作品だと思います。 今回、久しぶりに音道貴子の物語を読み返すにあたり、読みやすい短編集を読んでみました。音道貴子は離婚歴があり、まだまだ男性社会である警察の中で彼女なりに懸命に生きようとしています。男性上位の警察機構において腹の中で彼女が毒づくさまは気分爽快(笑)。警察内でのセクハラなぞ洒落になりません! この短編の中で一番気に入っている作品が、「長夜」です。ここに音道貴子のかつての同僚、元警察官のおかまのママが素敵。村越鉄平から村越安曇と変身した友人の知り合いが自殺します。その原因を探ろうとする安曇と、安曇の気持ちを思いやる音道貴子のかけあいが微笑ましい。こういう友情もあるんだなぁなんて思います。 まだ音道貴子シリーズを読んでいない方は、この短編集から入ってみられたらどうでしょう。長編の『凍える牙』と『鎖』もよいですが、これなりに読みきるパワーが必要です。その前にこの短編集で音道貴子を好きになれるかどうか判断してみてください。
『花散る頃の殺人』 1999.1.15. 乃南アサ 新潮社
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