酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2002年11月21日(木) ダーク

 私が、桐野夏生女史に惚れることになったきっかけの女、村野ミロ。彼女のあらたな壮絶な物語です。
 今回のミロも、ミロの友人のゲイのともさんも、なんだかいつもと違う。あえて人間の脆さ汚さを桐野夏生女史は描きたかったのでしょうか。
 物語は、『天使に見捨てられた夜』から続いていきます。ミロ初登場作『顔に降りかかる雨』以降いつも感じるミロの諦念感・虚無感はいったいなにに起因しているのだろうか。今回もすれすれのところでその原因はわからずじまい。義父、村野善三との本当の関係も。まだまだミロの物語は続くと言うことでしょうか。
 正直に言えば、今回の物語は起承転結を通して唐突すぎました。ミロの内面や屈折ぶりはわからないではないのですが。『ローズガーデン』を番外編として、前二作とあまりにも路線が違いすぎて、つながりが感じられないのです。あぁむずかしくてうまく書けない。いずれにせよ、ミロシリーズを読んでいる方は、読まずに通り過ぎられない物語です。ミロはふたつのとんでもないことをしでかします。あ、みっつかなぁ。

『ダーク』 2002.10.28. 桐野夏生 講談社



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