酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年03月05日(日) 『盗作』 飯田譲治+梓河人

 彩子の弟カヅキは聾児。聴力が全く無いカヅキだが、家族に愛され、不思議な力を秘めていた。彩子の幼馴染のミチは美しい少女。彩子とミチの同級生で女王様である紫苑は、自分より目立ってしまうミチを敬遠していた。ある日、彩子はトテツモナなにかを体中に受取り、一心不乱に1枚の絵を描く。人々の心に感動を呼び、魅了してやまない絵。彩子はあっと言う間に熱狂の渦に巻き込まれてしまう。有名な画家に認められ、前途洋洋に思われた彩子だったが、紫苑がその絵をかつて見たことがあると気づく。それは原野アナンのモザイク『天を走る』という作品。天国から一転、彩子は盗作疑惑の地獄へ突き落とされるのだった・・・

 すばらしーいv 大好きな飯田譲治さんの物語、しかもあの『アナン』の流れを汲む物語を読めることができる幸せ。たまらない読書タイムでした。上下巻なんて気にならないでさーっと読まされてしまいました。ああ、飯田譲治さんの世界は映像であれ、物語であれ、愛しいなぁ。素晴らしいなぁ。手放しで褒めちぎっちゃう。『アナン』は文庫化され、『アナン、』と改題、そして大幅改訂されたとか。買わなくちゃ。買わなくちゃ。そわそわ。
 今回のヒロイン彩子は、大きなエネルギーを受信し、表現することが出来てしまい、それが人生に数度も起こってしまい、彼女は翻弄されます。彩子がどこかでペシャンと潰れてしまうのじゃないかと心配でハラハラしどおしでした。でも家族と友人に支えられ、彩子の彩子だけの人生を全うします。なんてスゴイことなんだろう。
 飯田譲治さんの物語には救いや癒しが散りばめられていて、読むヒーリングだと思っています。出会いは『ナイト・ヘッド』(テレビ版)でした。サイキックな兄弟が大変な目に遭いながら、岬へ到達する物語。あれも大きな癒しだったわ・・・。なつかしい。今回の物語にアナンはチラチラ影を落とします。アナンも頑張っているんだなぁ、と昔馴染みの近況を知ることが出来て嬉しいような心持なのでありました。

「世の中のほとんどのことはわかんないまま過ぎていくけど、ちゃんと元気に生きていけるもんよ。いつか死ぬまでにわかるかもしれないし、わかんないかもしれない。そういうことがあるっていうことを覚えるのには、これはいいチャンスかもしれないけどね。ま、あたしたちが若いときにはいろいろあったわよ。娘に知られたらびびるような騒ぎもたくさん起こしてきたけど、人なんかそのうち忘れちゃう。思い詰めないで。ゆったりかまえておいで」

『盗作』上・下 2006.2.3. 飯田譲治+梓河人 講談社



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