酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2006年05月19日(金) |
「ジェリーフィッシュ」 明野照葉(『澪つくしより』) |
「ジェリーフィッシュ」 多加雄は色っぽいイイ女の瑛子を伴って仲間達とディンギーに乗りに来た。ディンギーを置かせて貰っている元漁師の家は腰越と言う屋号で呼ばれている。その家には《くらげ》がいる。海にいるくらげではない。人間のくらげ。多加雄はくらげを見た時の瑛子の反応が楽しみだったが、瑛子はごく普通だった。くらげの異形に驚かない瑛子を多加雄は抱こうとする。くらげがそっと見ているのを承知の上で・・・
くらげの名前は哲一と言い、海難事故で異形のものとなってしまう。その哲っちゃんを多加雄たちは人として見なしていない。それどころか軽んじている。瑛子はその魂の高潔さで優しさで哲っちゃんと接する。そのことに哲ちゃんは喜びもし絶望もしたことだろうなぁ。多加雄たち馬鹿者どもの愚かさよりも哲ちゃんの稀人ならではの魂の寂しさが心に迫り来ました。哲っちゃんは瑛子に出会ったからこそ、出会えたからこそ・・・せつないことです。
「馬鹿じゃないの。哲ちゃんは、言いたいこと、伝えたいことが山ほどあっても、それが表現できなくなっていた。それが哲ちゃんの一番のつらさだったんじゃないの」
『澪つくし』 2006.5.10. 明野照葉 文藝春秋
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