酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年05月31日(水) 『虹の彼方』 小池真理子

 高木志摩子は過去に恋多き女優と呼ばれていた。数々のスキャンダルを乗り越え、今は優しい夫を持ち48歳の落ち着いた大女優となっている。志摩子が座長となり舞台をやることになり、その原作者・奥平正臣と運命的に出会い、ふたりは激しく狂おしく恋に落ちて行く。しかし、正臣にも妻がいて双子の娘がいた。許されない関係ゆえ、ふたりの思いは燃え盛り行き着く果てに・・・

 うーむむむむぅぅぅ。なんだかスゴイ恋愛モノを読んでしまいました。やっぱり女が描く熟女の激しい恋っておそろしく生々しいですね(苦笑)。どんなに美しくても48歳と言う年齢に女が女を意識しない訳が無いだろうなぁと想像できて・・・なんだか怖いなぁ、切ないなぁ、苦しいなぁ・・・と巡り来るその日を本気で真剣に憂えてしまいました。女が女をわかる恋愛モノって厳しい。美しい女優さんですらこうならば、一般ピープルはどうなるのよ。トホホ。
 結婚して伴侶より他に目が行ってしまう、それはまぁあるかもしれない。それが家族も仕事も何もかもぶち壊してまで欲しいものとなったら、きっとそこは自分達も関係各位も巻き込んだ生き地獄。自分達はそれでも自分達の思いゆえだからいいとしても、巻き込まれて壊れて行く人たちは気の毒。だからって思いは止められなくて。うーん、深くて重くて苦しいことだなぁ。なんだかものすごくのめりこんで読んでしまいました。熟女が若い男と恋をする夢物語にはのめりこまないケレドモ、この路線はけっこうぐっときちゃいました〜。

「地獄の種類が違う、と言われてしまえばそれまでだけど、でも、少なくとも捨てる側には、それまで保ち続けてきた絆を一刀両断に切り落とすための覚悟がいる。それは何だろう・・・・・・そうだな、たとえて言えば、登山をしていて、ザイル一本でつながっている相手を、自分が生き延びるためにどうしても切り落とさなくちゃならない事態に陥って、どうしようもなくナイフを使ってしまう時の、あの地獄の悲しみに似ているのかもしれない」

『虹の彼方』 2006.4.15. 小池真理子 毎日新聞社



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