酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年08月01日(火) 『少年陰陽師 天狐編』 結城光流

 安倍晴明の妻・若菜は、大好きな物の怪を救うために自分の命を投げ打ち三途の川へやってきた孫・昌浩を現世へ戻した。しかし、若菜の必死の願いも叶わず、冥府の官吏は命の代わりに昌浩にとって無くてはならぬものを奪ってしまう。昌浩は陰陽師にとって必要不可欠な見鬼の才を無くしたのだ・・・。その上、助かったとは言え物の怪もっくんは一部の記憶を失っていて昌浩のことすらわからなくなってしまった。出雲の地で療養しながら、妖しの出現に対応しながら、昌浩の心は立ち直ることができるのだろうか・・・!?(「真紅の空を翔けあがれ」)
 昌浩たちは都に帰ってきた。見鬼の力を失った昌浩と失われた時間の己に怯える物の怪もっくんこと紅蓮(騰蛇)。昌浩は自分の命を投げ出し、紅蓮を助ける手助けさせたことを祖父・晴明に詫びる。自分の決断を手助けすることが祖父・晴明にとってもどんなに過酷なことだったかに昌浩は気付いたのだった。ほんのすこしぎくしゃくする昌浩と物の怪もっくんの目の前に新しい事件が待ち受けていた。彰子の代わりに入内した彰子の異母姉妹・章子を狙う禍々しい存在が・・・!?(「光の導を指し示せ」)

 風音編で昌浩は物の怪もっくんをこの世にとどめるために自分の命を投げ打とうとしました。昌浩にとってはそれしか決断の術が無く、しかし、死んだはずの祖母・若菜に助けられ、自分が決断したことが祖父・晴明を、そして周りのみんなをどんなに苦しめることであるのかに気付きました。この世に戻った昌浩はまたひとつ大人の階段を昇ったのでありました〜。
 安倍晴明の十二神の中で紅蓮こと騰蛇(物の怪ももっくん)以外では、紅蓮を敵視する青龍と冷静沈着な六合がキィ神様(パーソン人間じゃない)。それに加えてトッテモすてきな神将が今回大活躍でした。その神の名は勾陣(こうちん)。美しくクールな女神で闘将で紅蓮に次ぐ力の持ち主。紅蓮が昌浩によって変化して行った様を見ていたため、紅蓮の記憶喪失により傷ついている昌浩の側にいてくださった素敵な姐さんです〜。メロメロよー。やはり強くて美しい女性に目が無いのでありまする。

 そして、昌浩が願うのだ。
 つらいことは、覚えてなくていいよ、と。
「つらくても、心が壊れそうになっても。決して忘れてはいけないものが、ここに確かにあるだろう・・・・・・?」 


『少年陰陽師 真紅の空を翔けあがれ』 結城光流 角川ビーンズ文庫
『少年陰陽師 光の導を指し示せ』   結城光流 角川ビーンズ文庫



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