酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年08月09日(水) 『罠釣師』(トラッパーズ) 三浦明博

 仙台で小料理屋をやっている木之下は、趣味の渓流釣りへ繰り出した。運悪く事故を起こすが体に不具合はなく、宿を確保し、車は後でなんとかしようと山奥へ釣りへ走る。釣りが好きで好きで仕方ない木之下だったが、たまたま出会った老人と美少女に釣り上げられてしまい、魚ではなく人間を釣り上げるペテンに加担することとなってしまい・・・!?

 好きな映画に『スティング』があります。ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが仲間の敵討ちに大物をおおがかりなペテンにひっかける、ポイントは騙した後で騙されたと気付かれないこと・・・って小洒落た映画でラストのどんでんがえし鮮やかな素晴らしいものなのでありますが、なんだかソノ映画を彷彿とさせる物語だなぁと思いつつ読みました。巻き込まれる料理人が出向く山奥の渓流での釣りのシーンが最高に涼しげで清々しい想いを運んでくれます。釣りはやりたいですねぇ。特に山奥での渓流釣り。自然の中で美しい時間が流れることだろうなぁ。・・・あ、物語は読みやすくて楽しかったです。つるりんっと読めちゃいますv

 人間の心理とは案外単純なもので、雨が降っていれば陰々滅々として疑り深い気持ちになるし、すかっと晴れれば気分も良くなって些細なことなど気にならなくなる。そういうものだ。

『罠釣師』(トラッパーズ) 2006.6.10. 三浦明博 文藝春秋



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