酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2006年09月05日(火) |
『ありふれた風景画』 あさのあつこ |
高遠琉璃は高校2年生。3歳年上の姉・綺羅はモデル並みの美女で自分磨きに余念が無い。でも琉璃は爪の手入れをするだけ。琉璃は過去に付き合った男たちからウリをやっていると噂される。真実ではない噂を信じる周囲から孤立する琉璃。ある日、琉璃に彼氏を取られたと勘違いした上級生に呼び出された屋上で、綾目周子と言う神秘的な美少女に救われる。烏と意思疎通ができる不思議な周子に琉璃は惹かれ、そして・・・
『バッテリー』では少年と少年の心の触れ合いを描いたあさのあつこさんが、今回は少女と少女の心の触れ合いを描かれました。・・・心の触れ合いと言っていいのかどうか疑問ではあるケレドモ。登場人物のほとんどが女性で、一番興味深かったのは、琉璃と綺羅と言う美少女姉妹の母親です。父親が他の女の元へ走っているため、壊れかけていて過食症になり、娘に執着しているのですね。なんだか痛い母親で、美しい姉の綺羅の苦悩がわかる気がしました。琉璃は、まだ子供だったから姉や母の苦悩には無頓着で目の前の自分の悩みにしか目がいかなかったことに気づく。そのことに関する姉と妹の会話がトテモ良かったです。琉璃と周子の関係よりも綺羅と琉璃の関係の方が好きかもしれないなぁ。
「太りすぎに決まってんじゃん。そんなに、ぶくぶくになったら、心臓も腰もどうにかなっちゃうの当たり前でしょ。一日中ぶつぶつ言ってるヒマがあるんだったら、もうちょっとしっかり考えて、ダイエットでもしなさいよ」
『ありふれた風景画』 2006.8.10. あさのあつこ 文藝春秋
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