酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2006年09月30日(土) |
『新宿鮫』 大沢在昌 |
欲望の街、新宿。刑事・鮫島36歳はエリートキャリア組から公安時代に腐った同僚を摘発し、オチコボレた。しかも友人から公安の暗部を告発した手紙を託され、警察の恥部を握ったことにより鮫島は警察内外から目の仇にされてしまう。新宿署防犯課にまわされ、新宿署唯一の単独遊軍捜査官になった鮫島の救いは恋人のロックシンガー晶(しょう)だけ。新宿で連続警官射殺事件が発生する中、鮫島は銃密造の天才・木津を追いかけていた。木津の工房に潜入し、危機に陥る鮫島。鮫島の動向を知っているのは防犯課課長の桃井だけ。桃井はノンキャリアながらも将来有望の警官だったが、息子の事故死以来マンジュウ(死人)になってしまったと噂される覇気の無い男だった。鮫島に怨みとサディスティックな欲望を持つ木津によって落とされた絶体絶命の窮地から生還する事は出来るのか!?
確か5年くらい前にハジメテ大沢親分の『新宿鮫』シリーズにはまった記憶があります。ひょっとしたらもう少し前だったかしら。ちょうど携帯電話を持つか持たないかくらいの時期だったはずで、その時期には携帯電話が登場しない物語に違和感なかったように思います。でもさすがに今では古くさい感じがしますね。あと晶ちゃんの巨乳のことを<ロケットおっぱい>と鮫島が言うのにも笑えます。そんな言い回しないだろー(大笑)。このハジメテの新宿鮫では、鮫島はスーパーマンじゃない。そこが今さら新鮮でした。殺されそうな恐怖に本気で怖がる鮫島の人間らしさが魅力のひとつなのかもしれないー。まっすぐで正義感にあふれるがゆえに警察からはみだしてしまう孤高の刑事。うーん、絵になりますね。これぞハードボイルドってカタチ。この物語のキィパーソンはマンジュウの桃井課長。このひとが美味しいとこ全部さらえて持っていってしまうシーンがことのほかお気に入り。それは数年前に読んだ時も今回の再読でもやっぱり変わらなかったわ。この古くさくて泥臭い男の物語をテレビドラマ化してくれないかなー。映像で観たいです。秋風に吹かれてハードボイルドを。
「うちの課に『マンジュウ』はひとりだけでたくさんだ」
『新宿鮫』 大沢在昌 光文社カッパノベルス
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