酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
DiaryINDEX|past|will
2006年11月06日(月) |
『四度目の氷河期』 荻原浩 |
ワタルは人と同じように出来ない。むずむずして叫びだして走り出してしまう。他の幼稚園の子供達と色彩感覚がまるで違う。そしてワタルは外見も体型も人とは違うようだ。小学五年の夏、ワタルはすべてを理解した。ぼくはクロマニヨン人の子どもだ、と・・・
遺伝子の研究をしているシングル・マザーの子供であるワタルは人と違うことに差別され、苦しみながら成長していきます。落ち着きがなく叫びだしたり、走り出したりするワタルを小児科クリニックはADHD(注意欠陥・多動性障害)と診断されるも、母はワタルと向き合い話し合い、ADHDではなくワタルの個性だと教える・・・そこがワタルの軸となったような気がします。こういう母だからこそ、ワタルのあの成長があったのでしょうね。小さな頃にキチンと向き合って認めて信じてくれる存在があることの大切さをしみじみと感じました。
いい、ワタル。これはあなたの個性なの。少し個性が強すぎるだけ。母さんもあなたのいまの『個性』の強さを、いい方向に持っていくやり方を考える。
『四度目の氷河期』 2006.9.30. 荻原浩 新潮社
|