酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年11月09日(木) 『後ろ傷』 東直己

 省吾は北大合格間違いナシと自信を持っていただけに落ちて我を見失ってしまった。浪人するかどうか悩みながらも偏差値の低い私立大学、通称グロ大(道央学院グローバル大学)に通い始める。が、しかし、そこでも周りは馬鹿ばっかりで馴染めず、人を見下す自分にも疑問を感じ、ますます落ち込みの迷宮に入り込む。そんなある日、グロダッチ(同じグロ大の子)がヤクザにぼこぼこにされ、おまわりさんが見て見ぬふりをしているところに出くわした。省吾は思わずグロダッチを助けようと行動をし、一躍ヒーローとなってしまい・・・?

 ススキノ、ハーフボイルドの省吾君が再登場。若者は挫折して悩みに悩んでおります。ああ、わかるよ。その悩みっぷり・・・くらいにきっちり悩みあがく省吾君はトンデモナイ騒動に巻き込まれていきます。その騒動は過去から連綿と続いているもので、なんだか怖かったですね。過去の亡霊と言うか。知らないことで済むかもしれなかったことを知ってしまった省吾君の後姿を見ながら、知らなかったことに唖然としたのであります。東さんって人は変わらず道警に闘いを挑んでらしてかなり心配。しかし、ケラーが出てきて便利屋さんが活躍(?)するのは嬉しい限り。ある作家さんをずっと読んでいるとこういう関わり方みたいなものが嬉しいですネ。ケラーはものすごく呑みに行ってみたいバーなのです。便利屋さんに会えるかもしれないし(笑)。

ま、人間はな。誰だって、傷を負って、それを乗り越えて生きてるんだ。・・・・・・傷にも色々あるけどな
色々、ですか?
ああ。向こう傷、とかな。後ろ傷とか。かすり傷、深手、すっかり治る傷もあれば、後遺症の残る傷もある
・・・・・・

『後ろ傷』 2006.10.25. 東直己 双葉社



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