酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
DiaryINDEX|past|will
2006年12月21日(木) |
「春日局」 杉本苑子 |
お福は熟れの絶頂にある26歳。夫の正成は男ぶりも良く、下淫を好む。お福は夫の出世のために乳母として大奥へ入ることになった。行きがけに夫の愛妾を刺し殺して・・・。禁欲の女の園でお福は乳を与える子供に盲愛をそそぐ。その子供は竹千代。次の将軍さまとなるべき方なのだった。
大奥に関してはフジテレビのドラマでますます興味を煽られています。日本の歴史なんてものにたいして興味を持たずに生きて参りましたが、近年諸事情により(笑)歴史について勉強するようになりました(遅い)。ただ真っ当に語られている歴史よりも裏の顔、闇の顔にそそれらます。想像するしかない歴史に思いを馳せてみるとドロドロしたものがあるに違いないです。やっぱり人間だから。春日局についても、その歴史に触れるにつけ好奇心が巻き上がります! この女はあなどれない。尋常ではない。そういう鬼気迫るオーラを感じるのであります。おかめ顔でふくふくしい様子の女が高貴で美しいお江与ノ方に敵愾心を燃やす。その心根の捻じ曲がりように寒気がします〜ゾー。たまにどう見ても醜女でありながら太刀打ちできない美女にライバル心を持つ女がいますが、あれっていったいなんなんでしょう。身のほど知らずって言うより妄想に近い気がします。己をキチンと把握できないのですもの。お福もまさにそういうタイプに違いなく、その妄想でのし上がっていく。うーん、興味深い。充たされない想いを敵愾心を燃やす女の子供で晴らすナンテおそろしすぎます。春日局については少しずつ追っかけていきたいのであります。
「般若よりも、ほんとうはおかめのほうこそおそろしい。ゆだんがならない」
歴史・時代アンソロジー『大奥華伝』より 2006.11.25. 角川文庫
|